今回は、
『在職老齢年金 減額基準の引き上げ案』
朝日新聞の記事からお話したいと思います。
概要を紹介しますと、
厚生労働省は社会保障審議会の部会で、
働いて一定の収入がある
高齢者の厚生年金を減らす
「在職老齢年金制度」について、
65歳以上の減額基準を
今の月収「47万円超」から「62万円超」に
引き上げる案を示しました。
在職老齢年金制度には、
高齢者の就労意欲を損ねているとの指摘がある。
厚労省は部会で制度の廃止案も示したが、
減額基準を月収62万円超に
引け上げる案を軸に検討している。
62万円超にした場合、
減額対象者は約18万人減って約23万人になり、
年間の年金支給額は約2200億円増える。
60歳~64歳については、
対象者が2030年度までにいなくなるため
減額基準を今の下集28万円超のままとする案と、
62万円超に引き上げる案を示した。
厚労省は別の部会で、公的年金を補う
「確定拠出年金」の加入期間の延長案も示した。
企業が主に掛金を払う「企業型」と
個人で払う「個人型」(iDeCo)について、
いずれも今の原則20歳~59歳から企業型は69歳へ、
イデコは64歳まで伸ばす内容。
受給開始時期を今の60歳~70歳から70歳超に
広げる案も示した。
始めに、現行の在職老齢年金制度の減額基準
次に、確定拠出年金の加入期間および受給年齢
について、お話いたします。
現行の在職老齢年金制度の減額基準
60歳を過ぎてから会社などで働く場合、
厚生年金に入っていると年金額が減ったり
貰えなくなったりします。
この仕組みが在職老齢年金です。
もちろん気になる点は、
貰える年金額が減るのか、減らないのか、
どうやって決まるのか?
2つの基準で決まります。
ひとつ目が『基本月額』
厚生年金の老後の年金である老齢厚生年金の
月の年金額を指します。
この基本月額には加給年金額は含みません。
加給年金額とは配偶者、
奥さんの分がついている方が多いと思いますが、
配偶者やお子さんがいらっしゃって
一定の条件に当てはまると貰える家族手当のような
年金のことです。この金額は含みません。
ふたつ目が、『総報酬月額相当額』
1年間で貰う給料の総額と賞与(ボーナス)を
足して12て割った金額となります。
これら2つの基準、
基本月額と総報酬月額相当額によって
減額となるか決まります。
現在は、基本月額と総報酬月額相当額の合計が
47万円以下だと年金が丸々貰える、
減ることなく全額貰うことができます。
では47万円を超えるとどうなるか。
計算式はこうなっています。
基本月額 -(基本月額+総報酬月額相当額-47万円)÷2
つまり、47万円を超えた金額の半分が
減額されるということです。
試しに数字を入れてみましょう。
基本月額と総報酬月額相当額の合計額が57万円とすると
基本月額-(基本月額+総報酬月額相当額-47万円)÷2
57万円-47万円=10万円÷2=5万円
基本月額、貰っている年金額から5万円が
減るということになります。
今回の記事では、
この47万円が62万円に引き上げようという内容に
なっている訳ですね。
そして、60歳~64歳については、
対象者が2030年度までにいなくなるため
減額基準を今の下集28万円超のままとする案と、
62万円超に引き上げる案を示した。
対象者がいなくなるという意味は、
原則65歳から老後の年金を貰うことができるところ、
生年月日などある一定条件に当てはまる方は、
特別に60歳前半から老齢厚生年を貰えます。
特別支給の老齢厚生年金と言います。
条件のひとつの生年月日に該当する方が
2030年度にはいなくなるので対象者が
いなくなるという理由になっている訳です。
60歳~64歳までの方の場合、
基本月額と総報酬月額相当額の合計が
28万円以下なら年金すべて丸々貰えます。
28万円を超えると年金は減らされるか
貰えなくなります。
確定拠出年金の加入期間および受給年齢の延長
まず、確定拠出年金とはどんな制度かと言いますと、
国民年金や厚生年金(公的年金)を補完する形で
老後の年金を増やすために作られた年金制度のことです。
老後の年金として老齢給付金、障害を負った時の障害給付金、
亡くなった時の死亡一時金が用意されています。
次に、確定拠出と何を指すのか言いますと
「掛金が確定している」という意味です。
掛金、支払う金額は決まっているが
老後に貰える金額は決まっていないということです。
確定拠出年金には2つの種類があります。
企業が入る「企業型確定拠出年金」と
個人で入る「個人型確定拠出年金(愛称iDeCo)」
があります。
簡単にご紹介すると、
「企業型」は社員の将来の年金額を増やすべく、
企業が掛金を支払います。
社員は自らが運用商品を選び、
資産運用しその運用結果に基づく年金を
老後に受け取る制度です。
社員の方の運用次第で将来の年金額が
決まってくる訳ですね。
対しまして、「個人型」はその名の通り、
加入する時の口座開設手続きや運用商品を
扱っている運営管理機関の選定、
契約から運用商品の選択など、
すべて自分自身で決めて老後の年金づくりを
計画していく必要があります。
現在だと、確定拠出年金に加入できる期間は
20歳から59歳です。
今回の記事では、この期間を延ばそう、広げよう
という内容も含まれています。
企業型は69歳まで、個人型は64歳まで延ばそうと。
加入期間が延長されるとどうなるか?
掛金の支払いが延びる、増える訳です。
確定拠出年金には税制の優遇措置があります。
3つの協力な節税メリットです。
ざっくりとご紹介すると
1)毎月(もしくは毎年)の掛金が全額所得控除
老後の資産づくりをしながら、
所得税や住民税を抑えて安くできます。
一般的なお話ですのでもちろん例外もあります。
2)運用益が非課税
掛金で購入した商品を運用することで
老後の資産を増やしていくことになりますが、
通常の証券口座で増やした資産、
運用益には約20%の税金がかかるところ、
確定拠出年金の場合はなんと非課税です。
つまり、通常の取引なら利益が出ても
税金で減ってしまうところ、
目減りすることなく
老後の資産が増えていくということですね。
3)受け取る時の税制の優遇
増やした老後の資産を受け取る時には、
退職所得控除や公的年金等控除が受けられます。
このような税制の優遇が、
企業型だと10年間、個人型だと5年間延びると考えると
お得かも知れませんね。
しかし、確定拠出年金ですから、
運用次第では老後の資産を
減らしてしまう可能性もあります。
また、老後に受け取る年齢を
原則60歳から70歳まで選択できるところ、
こちらも
後ろに伸ばそうという案も出ています。
今後、どのような働き方をしていくか、
人それそれだと思いますが、
上手に活用できる制度になるといいですね。
ご参考になれば幸いです。
- 投稿タグ
- 在職老齢年金