今回は

年金をもらうためのひとつの法則

についてお話いたします。

 

最近は、老後の年金に関する制度を

ご紹介してきましたが、

細かい論点に焦点を合わせてのお話、

60歳以降に関するお話が多かったと思います。

 

今回は、これまでの狭い視点ではなくて

もっと広い視点で年金制度という枠組みから

老後の年金を捉えて解説をしていきます。

 

公的年金である国民年金と厚生年金、国民年金から

お話をしていき厚生年金へと移っていきます。

その際にみえてくる『年金をもらうためのひとつの法則』。

 

その法則を知っておくといずれ役に立つと思います。

 

 

現在の日本の年金制度は2階建てと表現されます。

1階部分が国民年金で、2階部分が厚生年金です。

 

国民年金は、すべての年金の基礎的な部分であるため、

基礎年金』という言い方もされます。

どのような点が基礎的なのか、

 

ここにひとつの法則が隠れています。

 

年金制度の概要からお話をしていき、

核心に触れていきたいと思います。

 

年金の概要から簡単に。

公的年金制度とは、

いま働いている世代(現役世代)が支払った保険料を

高齢者の世代の年金の財源とするという

賦課方式』の仕組みを採用しています。

 

世代と世代の支え合い』という考え方を

基本方針として運営しています。

年金の給付には、

すべて現役世代の保険料からというわけではなく、

年金積立金や税金も充てられています。

 

厚生労働省が作成しているパンフレットの

平成30年度末の数字ですが、国民年金の加入者とあり、

20歳以上60歳未満の自営業者、学生、無職の方などは

約1,471万人、

会社員・公務員などの方は

約4,428万人、

そして、専業主婦(主夫)、

会社員や公務員の方に扶養されている

20歳以上60歳未満で年収130万円未満の方は、

約847万人となっています。

 

呼び名は、自営業者、学生、無職の方などは

『第一号被保険者』、

会社員・公務員の方などは

『第二号被保険者』となります。

 

会社員・公務員『など』としているのは、

パートやアルバイトの方であっても

厚生年金に加入していれば『第二号被保険者』と

なるからです。

 

そして、専業主婦(主夫)は

『第三被保険者』となっています。

ここで気づくことがあります。

 

お子さんなどは除いて、

国民のほぼすべての方は国民年金に

加入している状況であるということになります。

 

会社員や公務員などの方は、

厚生年金のみに加入と考えるかも知れませんが、

前提として国民年金の加入者であり、

加えて厚生年金にも加入している国民年金の

『第二号被保険者』という捉え方になります。

 

ややこしいですよね。ちょっと言い方を変えてみます。

 

国民年金の老後の年金である『老齢基礎年金』が

もらえることを前提として、

厚生年金から老後の年金である『老齢厚生年金』を

もらうことができる。

という流れになります。

 

土台となる国民年金から年金がもらえない場合は、

その上に位置する厚生年金からだって年金は出ませんよ、

ということになります。

 

実際、パンフレットの[『もらうための条件』を確認すると、

厚生年金の『老齢厚生年金』のもらうための条件は

老齢基礎年金と同じ

 

つまり『国民年金の老齢基礎年金をもらえることが前提条件』

となっているわけです。

 

今回は、老後の年金、老齢年金を取り上げますが、

ご参考に、厚生年金の障害年金も遺族年金も

障害基礎年金と同じ』『遺族基礎年金と同じ』と

なっています。

 

これらの条件設定と国民のほぼすべての方が入る

年金制度ということで『国民年金』は『基礎年金』とも

呼ばれているものと思います。

 

ということは、会社員や公務員の方なども、

厚生年金からも老後の年金をもらうためには、

国民年金の老後の年金『老齢基礎年金』を

もらうための条件を知って措くことが

とても大切になってくるというわけです。

 

言い方を変えると、会社員でも公務員でも、

自営業・フリーランスでも専業主婦(主夫)でも、

国民年金の老齢基礎年金をもらえる条件を

満たさないと何も始まりません。

 

会社員や公務員などの方がもらえる厚生年金についても

国民年金の老齢基礎年金をもらえることが

条件に入っているからですね。

 

なお、厚生年金については、

会社員や公務員以外の方でも

もらえる可能性があります。

 

なぜかと言いますと、

自営業やフリーランスの方でも専業主婦(主夫)の方でも、

若い頃にパートやアルバイトなどの経験がもしあれば、

1ヶ月でも構いません。

 

その時、厚生年金へ加入して働いていたのなら、

厚生年金から『老齢厚生年金』が

1ヶ月分ではありますがもらうことができます。

保険料を払ったのだからしっかりと受け取りましょう。

 

もし、厚生年金でも国民年金でも、

加入した期間を調べたい方は、

『ねんきん定期便』や『ねんきんネット』での

確認が簡単です。

 

では、老齢基礎年金をもらうための条件は

どうなっているのか言えば、いたって簡単。

 

保険料を支払った期間と免除した期間の合計が

10年以上あればもらえます。

細かい規定は割愛して、ここでは、

10年以上保険料を支払うことで

国民年金の老齢基礎年金をもらえると

覚えてください。

 

さらに、厚生年金の老齢厚生年金がもらえるかも知れない。

老齢厚生年金をもらうための条件はどうなっているのか。

 

その条件とは、国民年金の保険料10年以上に加えて、

1ヶ月以上の厚生年金の保険料を支払っていること。

この条件を満たすと、

原則65歳から、

国民年金から『老齢基礎年金』、

厚生年金から『老齢厚生年金』を

一緒にもらうことが可能です。

 

また、厚生年金の保険料を1ヶ月ではなく

1年以上払っていると、60歳代前半から

もらえる年金もあります。

 

原則65歳にもらい始める現行の年金制度のところ、

それとは別の特別な年金となりますので、

特別支給の老齢厚生年金』という名称です。

 

この年金は経過的に作られた制度ですので、

条件は細かくありますので、

全員がもらえる年金ではありません。

 

原則65歳から原則65歳から、

と繰り返しお伝えしていますが、

 

原則と言っているのは例外があるからです。

その例外とは、年金の『繰上げ制度』と『繰下げ制度』です。

現在は、60歳から70歳までの10年間の間で、

老後の年金をもらう時期を選ぶことができます。

いずれ、60歳から75歳まで延長されます。

 

60歳に向けて早めてもらい始めることを

『繰上げ制度』、

70歳に向けて遅くしてもらう始めることを

『繰下げ制度』

と言います。

 

繰下げるともらえる年金額は減り、

繰下げるともらえる年金額は増えます。

その減額・増額となる対象の年金は

60歳代前半でもらう『特別支給の老齢厚生年金』と

65歳からもらう『老齢厚生年金』となります。

 

ここで注意点がひとつ。繰上げ制度を活用すると、

早めた分、もらえる年金額が減ります。

60歳に向けてもらう年齢を早める制度なので、

60歳代の前半でもらう年金となる訳ですね。

 

さきほど、紹介した『特別支給の老齢厚生年金』。

こちらももらえる方には、お知らせと申請書類が届きます。

60歳代前半に申請書津が届く、

ここで

60歳代前半にもらうのだから年金額は減らされる、

申請はやめておこう

と、これは間違い、勘違いです。

 

『自ら受け取りません』という選択をすることになってしまいます。

60歳代前半の『特別支給の老齢厚生年金』と

65歳からの『老齢厚生年金』は別物です。

 

きちんと申請をして、『特別支給の老齢厚生年金』

その後に『老齢厚生年金』をもらってください。

そのような書類が届いている方は、

ぜひ年金事務所に連絡してみてくださいね。

 

国民年金の『第二号被保険者』となる

会社員や公務員の方など、厚生年金の保険料を

払っている方たちですね。

 

国民年金に加えて厚生年金ももらえるので、

第一号・第三号の方よりも

公的年金においては多くもらえます。

 

しかし、だからこそ知っておくべき制度もあります。

在職老齢年金』制度です。

年金という名称なので、もらえる年金と思いきや、

なんと減らされる制度となります。

 

年金をもらいながら、厚生年金に入りつつ働く場合、

年金額と給料の合計額によってはもらっている

年金額が減額もしくはなくなってしまう制度です。

 

60歳代前半の方は『特別支給の老齢厚生年金』が減額の対象、

65歳以上の方は『老齢厚生年金』が減額の対象となります。

 

現在の減額基準となる金額だけご紹介します。

60歳から64歳までの方は年金額と給料の合計額が

28万円を超えると減額となります。

 

65歳以上の方は47万円を超えると減額されます。

いずれ、28万円は47万円に緩和されます。

 

すでにわかっていただけたかと思いますが、

国民年金、基礎年金をもらえることを前提として、

厚生年金も受け取れるというひとつの法則。でした。

 

ご参考になれば幸いです。