今回は
『 60 歳からでも間に合う年金を増やす方法 3 選』
についてお話いたします。
前回、もらえる年金額と最低生活費のバランスは?
という内容の記事を投稿いたしました。
統計データから数字をもってきて、
年金額と必要な生活費を比較しました。
老後の生活を楽にしようと考えた時、
年金以外の収入源がない方にとれる
方法は2つです。
もらえる年金額を増やすか、
生活のレベルを下げて
生活費を抑えるかの2つです。
ですが、
生活のレベルは落としたくない!
精神衛生上よくないですものね。
ならば、
年金を増やすことを検討しましょう。
60 歳からでも年金を増やせる方法 3 つと
おまけで 1 つご紹介していきます。
できそうな方法があれば
できる時に活用してみてください。
1)年金をもらう年齢を66歳以降に遅らせる(繰下げ制度)
繰下げ制度とは、国民年金や厚生年金から
もらえる老後の年金を原則の65歳でもらわずに、
66歳以降へ後ろにずらす制度です。
65 歳から 1 箇月遅らせるごとに
65 歳からもらえる年金額の 0.7 %
増額された年金額となります。
1 年だと 0.7 × 12 = 8.4 %
最大 5 年遅らせて 70 歳からもらうと 42 %、
65 歳でもらう年金額の 1.42 倍された年金を
70 歳から生涯もらい続けることができます。
また、2022 年 4 月からは 75 歳まで延長され
増額率は 84 %、6 5歳でもらう年金額の
1.84 倍された年金を 75 歳から受け取れます。
なお、この制度を使う場合に気を付けて
欲しいことが3つあります。
1つ目が、
繰下げは 66 歳から適用されること。
最低でも 1 年間は待つ必要があります。
2つ目が、
66 歳以降であれば 1 ヵ月単位で
増額された年金をもらい始めることが
できます。
70 歳までもらえない、
75 歳までもらえないわけではなく、
66 歳以降年金が必要になったら
請求書を出せばいいだけのシンプルね制度。
3つ目が、
実際に繰下げた年金をもらう時には、
一時金で受け取ることも可能です。
例えば 68 歳でもらう場合には、
65 ~ 67 歳までの 3 年分を
一時金でもらうか
68 歳から増額された年金を
もらい始めるか選択できます。
以上が繰下げのお話。
2)60歳以降も引き続き厚生年金へ加入して働く
60 歳以降も引き続き働く、
正社員でも契約社員でも派遣社員でも
パートでもアルバイトでも構いませんので、
厚生年金へ加入しながら働く方法です。
現在は 60 歳以降働くことが一般的で
珍しいことではないと思います。
また、高年齢者雇用安定法が改正され、
高年齢者就業確保措置が定められています。
70 歳まで働くことができる環境を整備せよ
と会社へ努力義務が課されました。
さらに長く働く時代はもう目の前です。
話を戻して、厚生年金に加入すれば、
厚生年金保険料が給料から天引きされます。
加入しているのであれば、
きっちりと年金額に反映されます。
ちなみに厚生年金には、原則 70 歳まで
加入することが可能です。
少しハードルが高いと思いますが
年金額をより増やすには、
収入を上げることも効果的です。
厚生年金は、加入期間や給料などの
金額によって年金額が決まりますので、
もし可能であればご検討ください。
3)国民年金制度へ任意加入し、付加年金も活用
厚生年金に加入しない方限定の方法です。
国民年金の老後の年金である
老齢基礎年金を増やす方法です。
制度の名前は
『国民年金の任意加入』と言います。
国民年金は 20 歳から 60 歳までの
40年間加入することになりますが、
この制度は40年未満の方が対象です。
国民年金保険料の【未納】や【免除】で
保険料を免除されている方で、
60 歳以上の方が対象です。
未納や免除などの期間がある方は
ご自身の申請によって
60 歳以上 65 歳未満の 5 年間、
国民年金保険料を支払うことができます。
もちらん支払った分は、
65 歳からもらえる老齢基礎年金に反映されます。
20 歳の時に大学生だった方、
国民年金保険料は払っていましたか?
転職活動の期間がある方、
その間の保険料は払っていましたか?
期間が 40 年に満たない場合には、
後から払うことで年金額を
増やすことができます。
自分は保険料を何年、
何か月分払っているのか気になる方は
『ねんきん定期便』や『ねんきんネット』
で確認することができます。
国民年金の任意加入制度を
利用するための条件は 4 つです。
1.日本国内に住所を有する 60 歳以上 65 歳未満の方
2.老齢基礎年金の繰上げ制度を使っていない方
3.20 歳以上 60 歳までの国民年金保険料の納付月数が 40 年未満の方
4.厚生年金に加入していない方
となります。
令和 3 年度の国民年金保険料は
月額 16,610 円です。
毎月の保険料に加えて月額 400 円の
『付加保険料』というものがありまして、
併せて支払うことで老齢基礎年金に
付加年金という金額が加算されます。
付加年金自体の金額は月額 200 円、
年額でも 2,400 円と少ない金額ですが、
例えば 60 歳から 65 歳になるまで
付加保険料を支払った場合だと、
5 年間の付加保険料支払い額
24,000 円( 60 月 × 400 円)
保険料に応じた 65 歳からの
付加年金額 12,000 円( 60 月 × 200 円)です。
65 歳から毎年加算されていきます。
65 歳から国民年金を受け取り始めて、
2 年でもとがとれる計算になります。
ご興味ある方は付加年金も併せて
検討してみてください。
最後におまけでもうひとつ。
国民年金や厚生年金の公的年金以外に、
個人で年金を積み立てることができるよう
国が支援している年金制度があります。
その制度の名は
『個人型確定拠出年金制度』
愛称 iDeCo(イデコ)と言います。
2016 年 12 月時点での加入者は約30万人、
2021 年 2 月には、約 190 万人が
加入している制度です。
とてもお得な制度になっています。
何がお得なのかと言えば、
手厚い税制優遇などがあることです。
ざっくりと言えば、
所得税や住民税をグッと抑えたり、
資産をどんどん増やしたりすることが
期待できる制度になっています。
具体的には、
掛け金がすべて所得控除となったり、
通常だと取られる運用益にかかる税金が
非課税になったり、将来貰える年金の計算にも
税制上のメリットがあったりと
『じぶん年金作り』
に適した仕組みが用意されています。
実はこれまで、 iDeCo へ加入できる年齢は
20 歳以上 60 歳未満でした。
2022 年 5 月 からは法改正によって
20 歳以上 65 歳未満と延長されます。
60 歳以上の方は、
厚生年金に加入か、
国民年金へ任意加入するか
という条件がありますが、
ご紹介した 3 つの働き方であれば
しっかりと条件を満たせます。
ご参考になれば幸いです。