今回は

60歳以降に【働く場合】と

【働かない場合】の健康保険への加入

についてお話いたします。

 

多くの会社の定年年齢は60歳、

ひとつの区切りとなる『定年』ですが、

この区切りの時点で今後どのような働き方を

するかによって、加入する健康保険制度が

違ってくることはご存知でしょうか。

 

仕事中や通勤時以外のケガや病気の際には、

お近くの病院などに行って治療を受ける。

受付において『保険証』を提示することによって、

治療費は自己負担分の金額で済む。

 

この流れは変わりませんが、

働き方によっては加入する健康保険の制度や

自己負担割合が変わってきます、

というお話です。

 

 

働くことを選んだ場合

これまでと同じ会社で引き続き働いたり、

退職後すぐに再就職して別の会社で働いたり、

『働くことを選んだ場合』には、

これまでと変わらず同じ会社の健康保険に加入、

再就職をした会社の健康保険に加入、となります。

 

大きな変化はないように見えまずが、

65歳以上から健康保険制度は変わり始めます。

 

なんと5歳刻みで、60歳以上65歳未満、

65歳以上70歳未満、75歳以上、において

制度の運営主体が変わったり自己負担割合が

変わったりします。

 

急に切り替わるので知らないと驚くかも知れません。

ぜひ、この内容は知っておいていただきたいです。

 

働かないことを選んだ場合

『働かないことを選んだ場合(年金生活を選んだ場合)』には、

健康保険への加入については3つの選択肢が出てきます。

 

1.健康保険の任意継続被保険者制度を活用する

2.国民健康保険へ加入する

3.ご家族の健康保険の被扶養者になる

 

これまでと同じ会社で引き続き働いたり、

退職後すぐに再就職して別の会社で働いたり、

『働くことを選んだ場合』には、

これまでと変わらず同じ会社の健康保険に加入、

再就職をした会社の健康保険に加入となります。

 

正社員で働く場合はもちろん、

契約社員やパート・アルバイトであっても

原則所定労働時間の3/4以上、

所定労働時間とは、

働く会社が決めている働いて

欲しい労働時間とお考えください。

 

この所定労働時間の3/4以上働く場合も

加入となります。

現在は社会保険への加入条件が

拡大されてきていますので、

気になる方は勤務先の管理部や総務部に

確認してみましょう。

 

なお、保険料の負担は会社と半分ずつ、

折半となります。

 

引き続き働く場合には、

会社の管理部や総務部が手続きしてくれますので

特に変わったことは起こりませんが、

65歳以降、健康保険の仕組みや

自己負担は5歳刻みで変わっていきます。

 

医療費の自己負担割合が変わります。

65歳から70歳まではそれまでと変わらず3割負担。

70歳から75歳までは、2割負担に減ります。

(現役並みの所得がある方は3割のまま)。

 

さらに75歳以上になると、

すべての方がそれまでに加入していた

健康保険などから外れて『後期高齢者医療制度』という制度に、

個人単位で加入することになります。

 

医療費の自己負担割合は1割負担に軽減されます。

75歳以降の医療制度の管轄は各都道府県になりますので、

75歳を起点にして、郵送などによるお知らせは

都道府県から届くことになりますので、

注意してください。

 

例えば、保険料の口座振替のお知らせが

75歳前後にお住まいの都道府県から

届くかも知れません。

そのため、保険料についても各都道府県で異なり、

『所得割』と『均等割』という計算式によって

保険料が算出されます。

 

では、『働かないことを選んだ場合(年金生活を選んだ場合)』

の選択肢3つを詳しくみていきましょう。

 

1.健康保険の任意継続被保険者制度を活用する

『任意継続』とは、

退職後も在職中に加入していた健康保険制度に

引き続き加入できる制度です。

 

退職すると翌日から健康保険の資格がなくなるため、

新たな健康保険への加入までに

ケガや病気になることを考慮し作られた制度です。

 

この制度を使うための条件は、

退職日までに被保険者期間が継続して

2か月間以上あることです。

 

普通に働いていての退職であれば

問題なく活用できると思います。

 

注意して欲しい点は、

退職日から20日以内に書類を提出することです。

退職前の会社の健康保険の保険者が

健康保険組合ならその組合へ、

協会けんぽなら各都道府県支部へ

『健康保険任意継続被保険者資格取得申出書』を

提出することが必要となります。

 

任意継続できる期間は退職日から2年間、

医療費の負担割合は、

本人とご家族原則3割負担となります。

ただし、保険料は全額自己負担(上限額あり)です。

 

2.国民健康保険へ加入する

健康保険には、

職域で加入する健康保険(会社などが加入する健康保険)と

地域によって加入する国民健康保険があります。

 

健康保険へ加入していない方は、

生活保護を受けている方などを除き、

すべての方が加入することになります。

 

国民健康保険には、

被保険者や被扶養者という区別はなく、

加入者すべてが被保険者本人となります。

 

医療費の負担割合は、

本人原則3割負担となります。

 

手続きは、退職した会社などから

『健康保険被保険者資格喪失証明書』をもらいます。

退職日の翌日から14日以内に

お住まいの市区町村の担当窓口に出向き、

『国民健康保険被保険者資格取得届』の

必要事項を記入し、会社からもらった

証明書とともに提出します。

 

ちなみに国民健康保険への加入日は

退職した日の翌日からとなるので、

手続きに要した日数は空白とはならないのでご安心を。

 

なお、保険料は前年の所得を元に計算されるため、

退職した翌年の保険料は高額です。

 

3.ご家族の健康保険の被扶養者になる

例えば、退職後は専業主婦として

夫の被扶養者になる妻などですね。

この場合は保険料の負担はありません。

 

被扶養者になるための条件はいくつかありまして、

主な条件は年間の収入が

180万円未満(60歳未満は130万円)で、

扶養者の収入によって生計を

維持しているなどがあります。

 

手続きは、退職日の翌日から5日以内に、

先ほどの例なら、夫の会社へ、

妻の『被扶養者届』を提出することになります。

 

以上が、健康保険制度への加入の選択肢3つとなります。

なお、会社員が退職や転職をした場合には

それまで加入していた健康保険の被保険者ではなくなり、

新たな健康保険に入る必要があります。

 

退職する際には『健康保険被保険者証』は

会社へ返却することになります。

保険証を返し忘れて、

退職後に医療機関で使ってしまうと

不正受給という取扱いになりますので注意してださい。

 

ご参考になれば幸いです。