今回は、
『 65 歳以降働くことのメリット3つ&デメリット3つ』
についてお話いたします。
ご存じの通り、
現在の年金制度は 65 歳から老後の年金を
受け取り始めることが出来ます。
繰上げて 60 歳代前半からもらったり、
繰下げて 60 歳代後半からもらったり
することも可能です。
原則の支給年齢である 65 歳から年金を
受け取り始めて生活費に充てていく方も
もちろんいらっしゃると思います。
ですが、満足のいく年金額をもらえる方は
そう多くはないのが現状かと思います。
65 歳以降働くことで、社会との繋がりを感じたり、
通勤などによる健康促進を感じたりと心身ともに
充実する面もあると思います。
そこで今回は、国の制度上 65 歳以降働くことの
メリット3つ、デメリット3つを
ご紹介してきたいと思います。
年金、健康保険、雇用保険の制度において
考えられる点をお話していきます。
65 歳以降働く際の検討材料になれば幸いです。
なお、ここでいう『 65 歳以降働く』の『働く』は、
厚生年金に入りながら働くことを想定しています。
パートやアルバイトという働き方であっても
厚生年金へ加入する場合は対象となるお話です。
そのため週 1 、 2 回働こうという方の場合は
厚生年金へ加入とならないかもしれません。
気になる方はお勤めの会社に確認してみてください。
メリット(1)年金(老齢厚生年金)の金額を増やせる
いたって当たり前の話ですね。
厚生年金保険料を支払った分、年金額を増やせます。
さらに、
2022 年 4 月から『在職定時改定』
という仕組みが法改正により導入されます。
この『在職定時改定』が導入されると、
増やした年金を手にする間隔が短くなります。
どういうことかと言うと、
現状、65 歳以上で仕事をしながら
年金保険料を給与天引きで支払っている。
もちろん、その分年金が増えることになりますが、
増えた年金が反映されて
手元にやってくるのはいつでしょうか?
会社を辞めた後か
70 歳になった時がそのタイミングです。
その時点から年金増額の計算がされます。
忘れたころに年金増えていたという感覚ですね。
しかし『在職定時改定』とは、定時とある通り、
毎年決まった時期に年金額が改定さます。
毎年 1 回、 9 月 1 日時点で厚生年金の被保険者であれば、
8 月までの厚生年金加入実績に応じて
10 月から年金額が改定されます。
手元に入ってくるのは、12 月の支払い月になります。
年金額を増やせて今後は増えた分を手にするスパンも
短くなってくるということですね。
65 歳以上働くことはいいとして、
働くことで年金はどのくらい増えるのか?
この金額が微々たるものではメリットとして成り立たない。
概算となりますが、増える年金額をご紹介します。
例えば、軽めにパートやアルバイトで働くことを
想定してみましょう。
週4日で 1 日 6 時間、10 時から 17 時の休憩 1 時間
という職場で働くイメージですね。
時給は 1,300 円です。
イメージですので給料にかかる諸経費などは無視して考えます。
月の働く時間は 16 日× 6 時間で 96 時間、
96 時間× 1,300 円=給料は 124,800 円となります。
年間でみると、124,800 円× 12 カ月= 1,497,600 円
年収約 150 万円ですね。
この年収 150 万円で 65 歳から 70 歳までの 5 年間
働いた場合に増える年金額は、
年額にして約 4 万円となります。
増えた年金額は一生涯もらい続けることができます。
5年間、週3日で 1 日 6 時間、時給 1,300 円だと、
約4万円増えるということですね。
年収 300 万円だと約 8.2 万円です。
金額があくまで概算ですので、ご了承ください。
増える金額については、感じ方それぞれかと思います。
メリット(2)働けなくなった時に利用できる制度がある
厚生年金と合わせて健康保険に入ることになり、
健康保険の『傷病手当金』を利用できます。
病気やケガによって働くことができない場合に、
給料の約 2 / 3 を最大 1 年 6 ヶ月もらうことができます。
条件はありますが。
厚生年金に入ることで、
併せて健康保険の所得保障制度も付いてきます。
もし会社から給料が出ていたり、
労災保険の給付や年金などをもらっていたりすると
手当が調整されることもあります。
メリット(3)扶養している配偶者の社会保険料がいらない
扶養している配偶者、専業主婦(主夫)
ご本人の健康保険の保険料と国民年金の保険料が
いらないということですね。
働いているのが旦那さんであれば、
奥さんは旦那さんの保険証で治療などを受け、
国民年金の保険料も自ら払う必要はありません。
以上、年金額が増える、働けなくなった時の所得保障制度がある、
扶養配偶者の社会保険料がいらない、メリット3つでした。
デメリット(1)失業手当(基本手当)がもらえない
失業手当。
会社などを辞めた際にハローワークに行って
手続きをすることでもらえる手当ですね。
失業した時の手当自体は 65 歳という年齢に
かかわらず用意されています。
されているのですが、
給付の種類が 65 歳以上だと違ってきます。
給付の名前は『高年齢求職者給付金』一時金です。
失業手当よりも給付日数が減ってしまいます。
60 歳代前半の方で、
雇用保険に入っている期間が 1 年以上あれば、
少なくとも 90 日( 3 ヶ月分)の給付が支給されます。
対して 65 歳以上になると、
多くても 50 日分の一時金となってしまいます。
日数だけで比較すれば、
60 歳代前半で会社を辞めた場合は、
失業手当をもらい終えてから
働き始めるという選択もあると思います。
デメリット(2)年金額が減額される可能性がある
現役と変わらずバリバリと働く場合でなければ、
気にする必要はないかも知れません。
『在職老齢年金』という制度がありまして、
60 歳以上で厚生年金に入りつつ働いてている場合、
もらっている年金と給料を合わせて
一定額を超えると年金額が減額される制度です。
受け取る予定の年金額と給料などの金額によって
減額されるかが決まります。
年金額については、
1年間で受け取る年金額を 12 で割って
月額換算した金額を使います。
基本月額と言います。
給料については、
1年間でもらう給料の総額と賞与(ボーナス)を
足して 12 て割った金額のことを指します。
総報酬月額相当額と言います。
基本月額と総報酬月額相当額を足して
47 万円以下なら年金すべて丸々貰えます。
減ることはありません。
しかし、47 万円を超えると
年金は減らされてしまいます。
年金額と給料などの合計額、
47 万円が境目ですのでご注意ください。
デメリット(3)社会保険料の負担が発生する
働かない場合には発生しない
厚生年金と健康保険の保険料が発生します。
メリットのところでお話した通り、
厚生年金及び健康保険に入ることで
得られる恩恵もありますので、
この点はバランスの問題になると思います。
厚生年金の保険料についておおまかに言えば、
給料と賞与の金額に一定の利率(現在は 18.3 %)を
かけた金額が保険料の金額となります。
実際に支払う金額が半分で、会社がもう半分を負担しています。。
加えて、健康保険の保険料と介護保険の保険料も発生します。
便宜上、メリットとデメリットに分けてご紹介していますが、
メリットと感じるかデメリットと感じるかは
あなた次第だと思います。
いずれにせよ、
65 歳以降働く際の検討材料になれば幸いです。