今回は
『定年後の社会保険(厚生年金・健康保険・雇用保険)どうするか?』
についてお話をしたいと思います。
結論から言いますと、
定年後も従業員として
会社で働くという働き方がいいのかなと思います。
活用できる国の制度が多いことがその理由となります。
もちろん、定年後はゆっくりと無理のない、
できる範囲で必要に応じて単発のアルバイトをしていこう、
これまでの経験と人脈を活かして
フリーランス(個人事業主)として頑張っていこう、
と考えている方もいらっしゃると思います。
どのような働き方がよい悪いというお話ではなく、
国の制度という視点から考えると、
単発のアルバイトをするよりも、
フリーランス1本よりも、
多くの制度を活用することができるというお話です。
なお、正社員でなくとも、
週3日4日程度での働き方でも大丈夫です。
可能であれば、週3日働きながらフリーランスの
仕事もしていくこともひとつの方法だと思います。
今回は、社会保険のお話です。
定年後における厚生年金・健康保険・雇用保険について、
会社などで働くことによって
どのような保障や給付を受けることができるのか、
それぞれの主な制度についても紹介していきます。
また、定年後ではなく定年前であっても、
活用できる主な制度はご紹介していきます。
今後の働き方を考える際の基礎的な知識となれば幸いです。
従業員として働く、会社員や契約社員、
パートやアルバイト、派遣社員などをして働く場合、
条件に合えば『厚生年金・健康保険』『雇用保険』に
加入することになります。
まずは各制度への加入するための条件を
簡単に紹介して、次に各制度に加入することで
どのような保障や給付を受けることができるのか、
主な給付をお話していきます。
厚生年金・健康保険
加入するための条件は、
・従業員数500名以下の会社などについては、
正社員の方の働く日数と時間の3/4以上働いていること。
・従業員501名以上の会社などについては、
1週間の所定労働時間が20時間以上あること、
・月の給料が88,000円以上であること。
この金額には、残業代や賞与(ボーナス)などは含みません。
・学生でないこと。
これまでは、大体正社員の3/4以上働いていると、
厚生年金と健康保険へ加入と覚えておけば良かったところ、
法改正によって、働く会社などの従業員数の規模によって
新たな加入の条件ができました。
また、今後は従業員数の条件のハードルが
改正によって下がっていきます。
つまり、従業員数の少ない会社などで
働くパートやアルバイトの方も対象となってきます。
詳しく知りたい方は、
お話している過去の動画がありますので
そちらをご参考にしてください。
厚生年金と健康保険の加入の条件は以上です。
次は主な給付をご紹介しますね。
厚生年金の主な給付は、老後の年金である『老齢厚生年金』。
原則65歳から受け取ることができ、
保険料を支払った期間と金額でもらえる
年金額が決定されます。
長く入って保険料を支払えば
その分老後の年金額を増やすことができるわけですね。
原則65歳と言っているのは、
例外的に60歳代前半にもらえる老後の年金もあるからです。
特別にもらえる老後の年金もあります。
原則65歳からもらう老後の年金を早くもらう
『繰上げ制度』や遅くもらう『繰下げ制度』、
年金をもらっている方については、
給料の金額と年金額の合計が一定額を超えると
減額される『在職老齢年金』などの規定もあります。
また、老後の年金以外にも障害を負ってしまった際の
障害厚生年金や万が一亡くなってしまった際の
遺族への遺族厚生年金などの年金も用意されています。
健康保険への加入条件は厚生年金と同じです。
主な給付は、病気やけがをした時のお医者さんに
診てもらった際の医療費への負担、
扶養しているご家族がいる場合はそのご家族も
一定要件に合えば健康保険に加入できます。
また、病気やけがをして働くことができない時、
給料の2/3の金額を所得保障してくれる
『傷病手当金』などが用意されています。
雇用保険
雇用保険への加入条件は、
1週間の労働時間が20時間以上などで加入となります。
主な給付は、会社などを辞めて失業した時にもらえる
所得保障となる『基本手当(失業手当)』です。
もらうための条件は、原則、辞めた日、離職前2年間に
雇用保険の被保険者期間が12ヶ月あるともらえます。
退職理由が、解雇や会社の倒産などになると、
辞めた日、離職前1年間に雇用保険の被保険者期間が
6カ月あるともらえます。
基本手当は、もらえる日数(所定給付日数)と
1日分の金額(基本手当日額)で総額が決まります。
雇用保険の被保険者の期間と年齢、
退職理由によってもらえる日数が決まり、
1日分の金額については、給料の金額や
年齢などによって決まります。
一番気になる点は、
大体どのくらいもらえるのか。ですよね。
ご参考に厚労省のサイトに載っていた金額をお伝えすると、
平均した給料の金額が月20万円なら、
月額13.5万円程度です。
月30万円なら月額16.5万円程度
(60歳以上65歳未満の方は13.5万円程度)と
なっています。
なお、65歳以上の方の失業の場合は
『高年齢求職者給付金』という一時金となります。
また、60歳から64歳までにおいて、
給料の金額が一定割合減ると
『高年齢雇用継続給付』がもらえます。
その他にも、介護をするために会社を休む時にもらえる
『介護休業給付』なども用意されています。
『介護休業給付』をもらうためには、
原則、介護休業を開始した日前2年間に
雇用保険の被保険者期間が12ヶ月以上あることが必要です。
もらえる金額は、平均した給料の金額が月20万円なら
月額13.4万円程度、月30万円なら20.1万円程度となっています。
定年後でなく、若い世代に活用する制度となりますが、
主な制度のひとつですのでご紹介させてください。
介護休業給付と同じ系統の給付となります。
育児をするために会社を休む時にもらえる
『育児休業給付』もあります。
『育児休業給付』をもらうためには、
原則、育児休業を開始した日前2年間に
雇用保険の被保険者期間が12ヶ月以上あるともらえます。
気になる貰える金額は、平均した給料の金額が月20万円なら、
育児休業開始から6カ月は月額13.4万円程度、
6ヶ月経過後は月額10万円程度となり、
月30万円なら育児休業開始から6カ月は20.1万円程度、
6ヶ月経過後は月額15万円程度となっています。
細かい規定もいろいろありますが複雑になりますので、
ざっくりとも加入となる主な条件と主な給付、
もらえる金額をご紹介しました。
ご紹介したい国の制度はまだまだありますが、
今回は社会保険の中の3つ、
厚生年金・健康保険・雇用保険について
お話をいたしました。
ご参考になれば幸いです。