今回は、
『60歳以降働くことの良い点・悪い点』
についてお話いたします。
なお、ここでの『60歳以降働く』とは、
厚生年金に加入しての働き方を
選んだ場合のお話となります。
パート・アルバイトという働き方でも、
厚生年金に加入であれば対象となる内容です。
老後の年金は、原則65歳からもらえます。
定年の年齢が60歳という会社なども多く、
60歳から65歳までの5年間の働き方について
検討する必要があります。
会社員などの方を例にあげ、
その選択肢を考えてみると、
1)60歳以降も引き続き同じ会社で働く
2)違う会社へ転職して働く
3)思い切って起業する
4)働かずに貯金を切り崩していく
5)65歳からの年金を60歳からもらう
「繰上げ制度」を利用する、
など様々です。
60歳以降も引き続き同じ会社で働く、
としても再雇用時に給与額の見直しはあるし、
違う会社へ転職して働く、
としても転職活動は気が重い、
また、収入が一定額を超えると、
もらっている年金額が減額される
『在職老齢年金』制度もあります。
思い切って起業する、
としても軌道に乗るまで収入はないかも知れない。
65歳からの年金を60歳からもらえる
繰上げ制度を利用する、
としてもその場合現行の制度だと
30%減らされた年金額を一生もらうことになります。
タイトルには、良い点・悪い点という
表現の仕方をしていますが、
あなた自身の状況によっては
良い点が悪く感じたり悪い点が良く感じたり
するかも知れません。
今回お話する内容は、
60歳以降働く場合の年金制度、
健康保険、雇用保険についての
取り扱いになりますので、
60歳以降働く際のポイントとして
聞いていただければと思います。
先に簡単に触れておくと、
良い点としては、
老後の年金(老齢厚生年金)の金額が増えること。
年間どの程度働くとどの位年金額が増えるのか
ざっくりとですがお伝えします。
さらに、健康保険に入ることで
所得保障の制度を利用できます。
どのような制度があるのかお伝えしていきます。
悪い点としては、
雇用保険からもらえなくなる給付が出てくること。
どの給付がもらえなくなり、
代わりにどの給付がもらえるのかお伝えします。
さらに、収入が一定額を超えるともらっている
年金額が減額される制度があります。
良い点
老後の年金の金額が増えます。
具体的には、厚生年金からもらえる
老齢厚生年金の金額を増やすことができます。
現在、厚生年金への加入は70歳まで可能であり、
老齢厚生年金の金額は、給料(収入)と
加入期間によって計算されています。
では、年間どの程度働くと
どの位年金額が増えるのか、
ざっくりとですがご紹介します。
例えば60歳から65歳まで働く、
その間の年収は150万円だった場合、
年額で約4万円増額となります。
年収150万円、
どのような働き方かイメージしやすいよう
計算してみましょう。
年収150万円を12ヶ月で割ると
月125,000円になります。
時給で計算してみると、
例えば時給1250円だと労働時間は
100時間必要となります。
1日の労働時間を8時間とするなら、
12.5日働くことになります。
週3日程度の働き方となりますね。
労働時間を6時間とすると
週4日程度の働き方ということになります。
時給1250円で週3日、4日の働き方を
選ぶと年額約4万円を上乗せできるというわけです。
もちろん、
週3日であっても厚生年金へ加入となる会社、
例えば従業者数501名以上などの会社で
働くことが前提となります。
いやいや、週3.4でなく週5(フルタイム)でも
問題ないですよという方、
ご参考までに年収300万円とした場合、
約82,000円の増額となります。
増額された老後の年金(老齢厚生年金)は
ずっともらい続けることが可能です。
健康保険に入ることで所得保障の制度を利用できます。
主な制度を紹介すると、
病気やケガによって働くことが
できなくなってしまった場合に支給される
『傷病手当金』があります。
一定の要件に該当すれば、
療養のため4日以上会社を休むことが
必要となった際、給料の約2/3を
最長1年6ヶ月もらうことが可能です。
なお、休んでいても給料をもらっていたり、
労災の給付や年金などを
もらっていたりする場合は、
調整される可能性があります。
扶養している配偶者の社会保険料が要らない。
つまり、専業主婦(主夫)ご本人による
健康保険の保険料と国民年金の
保険料の負担がいらないということですね。
働いているのが旦那さんなら、
奥さんは旦那さんの保険証を使って
医療等を受けることができ、
年金の保険料も自ら支払う
必要がないということです。
専業主婦(主夫)の方の年齢によって
若干違ってきますが。
悪い点
雇用保険からもらえなくなる給付が出てきます。
ただし、65歳以上からですのでその時、
上手に選択しましょう。
雇用保険は、
会社を辞めたり働けなくなったりした場合に
給付がもらえる制度です。
会社などを辞めた時には
「失業給付(失業手当)」がもらえます。
正式名称は「基本手当」。
この手当が60歳代前半まではもらえますが、
65歳になってしまうと給付の種類が変わり
「一時金」となり給付日数が減ってしまいます。
60歳代前半で、
雇用保険に入っている期間が1年以上あれば、
少なくとも90日(3ヶ月分)の手当がもらえるところ、
65歳以上になると、
多くとも50日分の一時金となってしまいます。
60歳代前半と65歳ではもらえる
雇用保険の給付の種類が違うと
覚えておいてください。
どうすればいいのかと言うと、
65歳になるお誕生日の前々日に退職することで
切り替わる前の手当(基本手当)を
もらうことが可能です。
なぜ、前々日なのかと言えば、
法律上、誕生日の前日の時点で1歳増えるからです。
今日が誕生日で65歳だとすると
昨日の時点で65歳になったと法律ではみなされます。
そのため、「前々日」の手続きが必要となるわけです。
収入が一定額を超えるともらっている年金額が減額されます。
60歳代前半に年金をもらっている方
(正式名称は特別支給の老齢厚生年金)は、
年金と給料の合計額が28万円を超えると
減額される『在職老齢年金』制度があります。
みっつ目は、社会保険料の負担が生まれます。
厚生年金保険料については、
ざっくり言えば給料と賞与の金額に
一定利率(現在は18.3%)をかけた金額が
保険料となり、会社と従業員が半分ずつ
負担する形となります。
月の給料が20万円なら18,300円。
25万円なら22,875円、30万円なら27,450円。
さらに、健康保険の保険料と介護保険の保険料を
払うことになるので結構な金額です。
合わせて6つのポイントをお話してきました。
その中で出てきた「特別支給の老齢厚生年金」や
「在職老齢年金」については
別の動画でご紹介していますので、
気になった方はご参考にしてください。
また、60歳代前半でもらえる年金5つを
簡単にまとめた動画もありますので、
概略をつかみたい方はこちらもおすすめです。
いかがでしたでしょうか。
冒頭でお話しましたが、
良い点・悪い点という表現の仕方をしていますが、
あなた自身の状況によって、
良い点が悪く感じたり
悪い点が良く感じたりすると思います。
60歳以降働く時の6つのポイントとして
考えていただき、働き方を選ぶ際の
ご参考になれば幸いです。
- 投稿タグ
- 在職老齢年金, 特別支給の老齢厚生年金