最近お話をしています動画のテーマは、
働きながら厚生年金に入っていると
年金が減ってしまう 『在職老齢年金』 や
パートやアルバイトの 『厚生年金加入条件の拡大』 など、
公的年金、厚生年金に関連した話題が
多かったと思います。
最近の新聞記事からテーマを決めているので、
それだけ働くことと今後の年金については
大きな関心事であることがわかります。
もちろん、この2つの話題も
関連性が大いにあります。
予定されている在職老齢年金の
減額基準の引き上げは60歳以上の就労意欲、
働く意欲を損なわないための施策です。
引き上げに伴う年金支給額の増額については
その財源の確保が必要になってきます。
つまり、
どこかで厚生年金の保険料を増やさないと
帳尻が合わなくなる訳です。
それなら、パートやアルバイトの方たちを
厚生年金に入るように加入条件のハードルを下げよう。
という理由からの見直しであれば繋がっています。
変更されてしまえばその流れに
従うことしかできないのも事実です。
とは言え、
いまよりも給料の高い会社への
転職や副業を考えたり、
仕事を2つダブルワークを検討したり、
少々現実的な話ではないですよね。
そこで今回は、
公的年金に関する改正などに振り回されずに
あなた自身の手で老後の資産を増やす制度を
ご紹介いたします。
約141万人が加入している制度
2016年12月時点での加入者は
約30万人だったところ、
2017年1月の改正によって
加入者は増え続けて2019年10月時点で
約141万人が加入している制度、
個人型確定拠出年金(愛称イデコiDeCo)
についてお話したいと思います。
始めようと思えば月5000円から
始められるじぶんで作っていく年金です。
確定拠出年金とは、公的年金を補完する形で
用意された年金制度なのですが、
2017年1月に個人向けの確定拠出年金制度が
改正されて、国民のほぼすべての方が
加入できるようになりました。
会社員や公務員の方はもちろん、
自営業でも専業主婦(主夫)の方でも
加入することができます。
みんなが入れるように国が準備した制度ですから、
それなりにお得な制度です。
何がお得かと言えば、手厚い税制優遇などです。
所得税や住民税をグッと抑えて安くできたり、
資産をどんどん増やしたりすることが
期待できる制度になっています。
具体的には、
掛け金がすべて所得控除となったり、
通常だと取られる運用益にかかる税金が
非課税になったり、将来貰える年金の計算にも
税制上のメリットがあったりと目白押し、
詳しくは後ほどお話していきます。
一度どのような制度なのか、
そして始めてみる価値があるか、
あなた自身で決めていただければと思います。
iDeCo(イデコ)に加入できない人
国民のほぼすべての人が入れるよう
改正されたとご紹介しましたが、
残念ながら加入できない人もいます。
まず、60歳以上の方は加入できません。
加入対象者は20歳以上60歳未満です。
将来の年金作りをするという目的も
あるためこのような制限があります。
次に、海外に移住している方も加入できません。
日本国内に居住している方が
対象となっています。
最後に、国民年金保険料を免除されている方
(障害基礎年金受給者は除く)や
納付を猶予されている方は加入できません。
以上3つのケースのいずれかに
当てはまる方は加入することができない
制度ですのでこの点はご注意ください。
反対に、
国内に住んでいる20歳以上60歳未満で
国民年金保険料を払っている方は
イデコに加入することができるということです。
会社員の方などで厚生年金保険料を
払っている方ももちろん加入できます。
自営業の方も専業主婦(主夫)の方も
条件に会えば問題なく加入できます。
良くないと感じられる点
みんなが入れるように国が準備した
制度ですからお得な制度です。
と言いましたが、
お得に感じられない点ももちろんあります。
早めに良くない点をご紹介しておきますね。
いいと思っても後から「ちょっと違う」と
なるのも良くないですからね、
ずばり、
60歳まで手元にお金を
引き出すことができません。
そして原則解約もできません。
どれだけ老後の資産を増やすことが
できたとしても60歳までは手出しできません。
この1点に尽きます。
例外的に、亡くなった際の遺族への
死亡一時金と障害を負った際の
障害給付金がある程度です。
60歳まで運用することで老後の年金を
なかば強制的に確保できると考えるか、
融通がきかない制度だなぁと考えるかは
あなた次第ではあります。
良いと感じる点
国がiDeCoという愛称までつけて、
このような個人でも作っていける制度を
提供した訳ですから当然それなりの優遇が
用意されています。
それは、強力な節税メリットです。
税金を安くできる、手取りを増やせる
強力な3つの仕組みをご紹介したいと思います。
1.【拠出時】掛け金が全額所得控除
所得控除とは、所得税や住民税を
計算するための所得額から差し引くもの。
掛け金の分を差し引いてくれるので、
所得税と住民税が安くなります。
2.【運用時】運用益に対する所得が非課税
通常の証券口座で投資を行う場合、
得た利益に対して約20%の税金がかかります。
イデコの場合は非課税ですので、
利益が目減りすることなく再投資されます。
3.【受取時】退職控除や公的年金等控除
老後の年金を受け取る時、控除があります。
税金の還付の手続き
掛け金の全額所得控除という節税効果があります。
税金を安くできるという意味ですが、
手続きはやっぱり必要です。
税金の還付の手続きですね。
自営業の方などは確定申告による申請で、
会社員や公務員の方は年末調整による
申請となります。
会社員などの方で給料から天引きで
掛け金を払っている場合、手続きは不要です。
給与計算の際に控除されていますので、
何もしなくて大丈夫です。
反対に、会社員の方であっても
ご自身の口座から掛け金を払っている方は、
やはり年末調整や確定申告での手続きが
必要になります。
手続きが必要な方には
『小規模企業共済等掛金払込証明書』
というハガキが
10月下旬あたりに
国民年金基金連合会から届きます。
この証明書、ハガキを手にしたら大事に
保管しておいてくださいね。
このハガキがないと払い込んだ掛け金の
金額を証明することができなくなります。
具体的な手続きは、
確定申告の場合は2か所への金額記入。
第一表と第二表の項目⑬:小規模企業共済等掛金控除
へハガキに記載されている掛け金の総額を
記入すれば完了です。
年末調整で手続きをする場合には、
会社からもらえる書類への金額記入。
給与所得者の保険料控除申告書の
「確定拠出年金法に規定する個人型年金加入者掛金」
の欄に金額を記入し届いたハガキも
一緒に提出すれば完了です。
大事なことは10月頃に届く
ハガキを忘れずに保管しておくことです。
運用益が非課税
運用益ってなに?となるかと思います。
順を追ってお話していきますね。
運用益とは運用商品を運用して出た利益です。
ざっくりと言えば、この利益と掛け金の合計が
老後に貰える年金額ということになります。
iDeCoを始めるには運用商品を
決める必要があります。
まず、運用商品はどこで
取り扱っているのかと言うと、
銀行や証券会社、保険会社になります。
これらの取扱い金融機関を
「運営管理機関」 と呼ばれています。
運営管理機関は、一人一つです。
決めた運営管理機関で掛金の支払い口座を作って、
その選んだ運営管理機関で取り扱っている
運用商品を購入し資産を増やしていく流れに
なります。
運用商品は各運営管理機関で違いますし、
長い付き合いになりますから慎重に選びましょう。
次に、運用商品はどのようなものか?
大きく分けて2種類あります。
一つ目が 「元本確保型」
と言われる定期預金や保険商品など。
資産が極力減らないように運用をしていく商品となります。
元本保証ではないので、
減る可能性ももちろんあります。
二つ目が 「元本変動型(投資信託)」です。
投資というとギャンブル的な感覚を持つ方も
いらっしゃるかも知れませんがご安心ください。
投資信託という商品は、
あなたが株などの売買をするわけではなく、
運用のプロであるファンドマネジャーが
代わりにやってくます。
用意してある様々な投資信託商品を
あなたは買うだけなので心配ありません。
まとめると
イデコを始めるには、運営管理機関を一つ選択する。
選択するためには各運営管理機関で取り扱っている
運用商品を比較検討して決める。
運用商品は大きく分けて2つ、
元本確保型の商品と投資信託があって、
どの商品をいくら購入するかを決めていく。
という流れになります。
ちなみに掛金の金額は、
月5,000円以上(1,000円単位で)から
職業別に決まっている上限額以内で、
あなたが決めることになります。
なんとなく、
イデコのはじめ方がイメージできましたでしょうか?
老後の増やした資産の受け取り方
将来、運用によって増やした
資産を受け取る時には3つの方法が選べます。
1)一括でもらう「一時金」
2)年数回に分けてもらる「年金」
3)一時金と年金の「併用」
の3種類です。
一時金
一時金は、60歳から70歳までの間で
貰うことができます。
「なら、早いうちに60歳に
なった時点でもらおう!」
と考えるかも知れませんが、
ちょっと待ってください。
資産の運用は引き続き継続していくことを
考えると違う見方もできます。
60歳ではなくて65歳に一時金で
受け取ることにした場合、
64歳まで預けている資産は
引き続き運用されています。
60歳で貰うよりも資産が増えている
可能性もあるわけです。
受け取る時期を後ろにずらしたり、
年金との併用を検討したりするのも
一案だと思います。
もちろん、60歳で一括受け取りも
いいと思います。
年金
年金は、受取期間を5年から20年以内、
受取回数を年1回から12回まで
選ぶことができます。
(年1・2・3・4・6・12回
※運営管理機関によって異なる)
例えば、
公的年金の支給が
65歳からの場合としましょう。
60歳から64歳までの5年間をイデコで
増やし資産で賄っていく。
5年で年6回の受け取りにした場合、
受け取り回数は30回ですね。
ざっくりと言えば増やした資産を
30回に分けて受け取るということになります。
注意点
50歳以上でイデコへ加入した場合、
受け取る年齢は61歳以上になります。
加入期間が
・8年以上10年未満だと61歳
・6年以上8年未満だと62歳
・4年以上6年未満だと63歳
・2年以上4年未満だと64歳
・1ヶ月以上2年未満だと65歳
となります。
また、年金での受け取りの場合には
運営管理機関に資産を預けている間は
口座管理手数料がかかる場合があります。
なお、振込みの都度手数料が
税込432円かかってきますので、
先程の例だと30回分必要となり
約1.3万が必要となります。
ご紹介の内容は制度上のお話ですので
運営管理機関によってはもっと柔軟な受け取り方を
提供している機関もあるかも知れません。
運営管理機関を選ぶ際にはぜひ確認してみてください。
ご参考になれば幸いです。