今回は

年金もらうならあなたはどっち?

70歳からの【増額さん】

65歳からの【定額さん】

についてお話いたします。

 

前回の記事は、

年金を 65 歳でもらう場合と

60 歳でもらう場合、

もらえる年金総額からみてどの時点で

同程度の金額に並ぶのか解説しました。

 

この時点、年齢がわかれば

ご自身の健康状態から

年金早めにもらおう、

原則の65歳からもらっていこう、

と年金をもらう年齢を決める

ひとつの判断材料が手に入ります。

 

70 歳でもらうということは

『繰下げ』制度を選択した場合です。

繰下げは年金をもらう年齢を後ろに

下げれば下げるほど年金額が

増額される仕組みです。

 

70 歳から増額された年金と、

65 歳から増額されない年金、

年金額の関係はどうなるのか。

 

実際のところ、

繰下げ制度を活用する方は僅かです。

ですが前回の記事と合わせて

もらう年齢を前後させる制度の

全体像をつかんでもらえれば幸いです。 

 

 

基礎的なところから始めます。

老後にもらえる年金の種類は

国民年金から『老齢基礎年金』、

厚生年金から『老齢厚生年金

となっています。

 

一般的には、自営業や専業主婦などを

ずっとしてきた方は国民年金のみ、

会社員や公務員の方は国民年金と厚生年金から

2つの年金をもらうことになります。

 

会社員や公務員ではなく

パートやアルバイトをしていた方でも

1年以上厚生年金に入っていれば

『老齢厚生年金』をもらえます。

 

年金は 65 歳から受け取れますが、

『繰下げ』を選択することで、

66 歳から 70 歳までの間で1ヵ月単位で

受け取る年齢を指定できます。

 

2022 年 4 月からは法改正によって

75 歳まで延長されます。

 

66 歳からという点がポイントで、

65 歳から 66 歳までの1年間は

年金は一切もらえず我慢が必要です。

 

この1年間を我慢することによって

65 歳から 1 箇月遅くしていくごとに

0.7 %ずつ年金額が増えていきます。

 

増額された年金は一生涯続きます。

もし、繰下げを使いたいと思った方は、

お手元に届く『年金請求書』を

65 歳の時に提出せずに保管します。

 

そして、66 歳以降に手続きをします。

 

繰下げをすると年金が増えることは

ご存じの方多いと思います。

 

ですが実際のところは

『年金が増えるのはいいけど、

いつまで長生きできるかわからないし、

結局のところ損しないの?』

が一番気になりますよね。

 

70 歳の増額された年金額と

65 歳の増額されない年金額

比較するとどうなるのか?

 

70 歳からもらい始める方と

65 歳からもらい始めた方がいる。

 

年金額は同じ金額だとして、

何歳の時に、それまでもらった

年金の総額が一緒になるのか、

計算してみます。

 

70 歳からもらい始める方、

増額された年金となるので

『増額さん』と名付けます。

 

65 歳からもらい始める方、

変更のない定額ですので

『定額さん』と名付けます。

(年金額は人それぞれですので、厳密には定額ではありませんが

便宜上『定額さん』とさせていただきます。)

 

70 歳からもらう『増額さん』と、

5 年早くもらい始める『定額さん』は、

どの時点(年齢)でそれまでにもらった

年金の総額が同じになるのでしょうか?

 

年金額は月 20 万円で計算していきます。

年間で 240 万円ですね。

 

まず、受け取る年金の総額から。

90 歳までの年金総額を計算します。

 

定額さんは、

65 歳から 90 歳までの 25 年

増額なしの 240 万円× 25 年で、

総額は 6,000 万円です。

 

増額さんは、

70 歳から 9 0歳までの 20 年。

5 年遅くした分の

増額率 42 %が減額され

340.8 万円となります。

 

340.8 万円× 20 年で

総額 6,816 万円となります。

その差は 816 万円です。

 

次に、年金の総額がほぼ一緒になる時は。

言い換えれば、どこまで長生きすれば

年金総額が多くなっていくのか。

 

つまり、この年齢によって

長生きできそうな方は繰下げを選ぶ

というひとつの判断材料になる

わけですね。

 

結果だけお伝えします。

 

定額さんと増額さんは、

81 歳 10 か月時点で受け取る

年金総額がほぼ並びました。

 

ということは、81 歳 11 か月目から

増額率分増えている増額さんについては

どんどん年金総額が多くなっていきます。

 

とは言え 80 歳を超えています、

現実的なお話ではないかも知れません、

あくまで年金額から検証とお考えください。

 

2022 年 4 月からの法改正、

75 歳まで延長された場合も

同じように計算してみます。

 

まずは、90 歳までの年金総額から。

定額さんは、

65 歳から 90 歳までの 25 年で

総額 6,000 万円です。ここは変わらず。

 

増額さんは、

75 歳まで繰り下げることにして

240 万円×増額率 84 %で、441,6 万円。

75 歳から 90 歳までの 15 年では、

総額 6,624 万円です。その差は 624 万円です。

 

次に、総額がほぼ一緒になる時はいつか。

定額さんと増額さん、

共に 86 歳 10 か月で近い金額となりました。

85 歳を超えてしまいました。

 

年々、平均寿命が延びてきているとはいえ、

今回の検証では 80 歳を越えて

結果となってしまいました。

 

ご参考になれば幸いです。