今回は

2022 年 年金法改正ポイント4つ

をお話いたします。

 

2022 年、年金制度はいくつか法改正が行われます。

その中で知っておくと役立ちそうな改正点4つを

お伝えしたいと思います。

 

法改正の目的として共通していることは、

『長く働きたい人がより長く働くける環境を

用意すること』と考えられます。

 

実際のところは

『長く働かざるを得ない時代に向けての法改正』

とも言えるかも知れません。

 

いずれにせよ、

2022 年からどのように年金制度が変わるのか、

必要な時にはご自身が使うことや

改正された制度が適用されることもあると思います。

 

ざっくりとでも知っておくのはいかがでしょうか。

 

 

1)年金額改定の仕組みの見直し(2022年4月から)

年金額改定の仕組みとは?

なんだか堅苦しい言葉が出てきましたね。

 

簡単な問題を出して説明したいと思います。

ちょっとイメージしてください。

 

あなたは 65 歳です。現在は会社で働いています。

あまり無理をせずに週3回仕事をしています。

厚生年金に加入ということで給料から

保険料が天引きされています。

 

老後の年金は 65 歳からもらうことができます。

働きながらも年金を受け取っている生活ですね。

 

さあここからが問題です。

 

厚生年金に入っているので毎月の給料から

厚生年金の保険料は支払っています。

払った分はもちろん年金額に反映されます。

増えるというわけです。

 

では、いつどこのタイミングで年金が増えて

手元にやってくるのでしょうか。

 

『保険料を払った後の次の年金入金日ではないの?』

と思われた方、または

『四半期とか半年とか』と思われた方

いらっしゃるかと思います。

 

正解は『会社などを辞めたその1箇月後』

または『 70 歳になった時』に増額されます。

 

会社を辞めるか 70 歳になるか、

いずれかを実現しなければ

年金の金額は変更なしということです。

 

ちょっと驚きますよね。

この点が改正によって、働いていても(在職中でも)

毎年年金額が改定されることになります。

 

1年単位での見直しとなりますが、

これまでは下手をすれば 5 年間年金額が

増えなかったことを考えるとよくなったかなと思います。

 

2)受給開始年齢の選択肢の拡大(2022年4月から)

受給開始年齢とは、

老後の年金をもらい始める年齢のことを指します。

 

老後の年金は、原則 65 歳からもらえますが、

『繰上げ制度』や『繰下げ制度』を活用することで

60 歳から 70 歳までももらい始めることができます。

 

早くもらい始めると早めた分年金額は減り、

遅くもらい始めれば遅くした分年金額は増える、

という仕組みです。

 

この 60 歳から 70 歳という選択肢を

60 歳から 75 歳まで拡大されるのが

今回の改正点です。

 

60 歳からもらうこともできるし、

75 歳からもらうこともできます。

 

75 歳まで遅らせた場合の年金額は、

65 歳でもらう金額の 184 %、1.84 倍となります。

 

65 歳から一ヶ月後ろにずらすごとに

0.7 %増額されていく仕組みです。

また、『繰上げ制度』も改正され、

現在は 65 歳から

一ヶ月早めると 0.5 %の減額です。

 

それが今回の改正によって、一ヶ月早めると

0.4 %の減額率となります。

60 歳からもらうこととした場合、

年金額は 65 歳でもらう金額の 70 %、

つまり 30 %の減額のところ、

法改正後は 65 歳でもらう金額の 76 %、

つまり 24 %の減額となります。

 

その差は 6 %。若干ではありますが、

繰上げ制度を使いやすくなったのではないでしょうか。

 

3)在職老齢年金の見直し(2022年4月から)

在職老齢年金とは、

60 歳以降も引き続き会社などで働く場合、

厚生年金に入っていると

その時にもらっている年金額が減額される制度です。

 

簡単に表現すると

『あなたは給料と年金をもらっていますね。

給料と年金を合わせた金額が一定額を超えていますので、

年金の金額は少し減らさせていただきます。

ではこうしましょう、

減額させていただく基準は年金と給料の合計が

28 万円を超えたらにしましょう。』

 

このような制度です。

 

60 歳から 64 歳までの方の基準が『 28 万円』です。

今回の改正でこの基準、金額が見直されるわけですね。

 

『 28 万円』が『 47 万円』に増額されます。

年金額と給料を足して、 47 万円以内であれば、

年金は減らされることがない訳です

 

給料の金額を気にして働くことを

控えることは少なくなるのではないでしょうか。

 

ちなみに、ここで言う年金の金額は、

1年間で受け取る年金額を 12 で割って

月額換算した金額を使います。

 

給料の金額については、1年間でもらう給料の総額と

賞与(ボーナス)を足して 12 て割った

金額のことを指しています。

 

実はこの減額基準、65 歳以上の方については

『 47 万円』です。今回の改正によって、

足並みを揃えていく訳ですね。

 

4)厚生年金への適用拡大(2022年10月から)

パートやアルバイトの方などが厚生年金へ

加入する可能性が高くなるとお考え下さい。

 

厚生年金へ加入となる主な条件は3つあり、

その内のひとつに改正が入ります。

ひとつずつ解説します。

 

働く会社などの従業員数(2022年10月から)

従業員数 501 名以上の会社などで

働くと条件を満たすことになります。

 

ですが現在は、

従業員数 500 人以下の会社であっても、

会社側と働く側の合意があれば、

厚生年金へ加入となります。

 

500 名以下の会社などであっても、

中には「うちは厚生年金に加入してもらっています」

という所もあるという訳ですね。

 

気になる方は働く前に確認しましょう。

 

今回の改正で、この従業員数が段階的に少なくなります。

2022 年 1 0月から従業員数が 101 名以上となり、

2024 年 10 月からは. 51 名以上となります。

多くの会社で厚生年金への

加入対象者が増えていく、拡大していく

という流れになっています。

 

1週間の働く時間、労働時間

1週間の所定労働時間が 20 時間以上あること

1週間で 20 時間以上働く方となります。

週 4 日勤務なら 1 日 5  時間以上、

週 3 日勤務な 7 時間程度となります。

 

20 時間の判断については、基本的には、

契約上の所定労働時間でみることになりますので、

急に発生した残業時間などは含めません。

 

また、この 20 時間以上。これまでは、

正社員の 3 / 4 以上という条件で

概ね 30 時間以上での厚生年金加入となっていました。

 

それが 20 時間と、敷居が下がったという訳ですね。

 

給料の金額

月の給料が 88,000 円以上であること。

この金額には、残業代や休日・深夜労働の割増分や

賞与(ボーナス)などは含みません。

 

なぜ、88,000 円と中途半端な金額なのか。

12 倍して年額にするとわかるかも知れません。

 

88,000 円に 12 を掛けると 105万6千円、

約 106 万円となります。

年収の壁 106 万円、というのは

ここからきているわけですね。

 

少し補足です。

条件は主に3つと紹介していますが、

実はもうひとつ条件があります。

 

それは『学生でないこと』です。

学業を本分とする学生さん、昼間学校へ

通っている学生さんのことですね。

 

この動画を観ている方で昼間学校に

通っている学生さんはいないと思います。

いらっしゃったらご視聴ありがとうございます。

 

『学生さんでないこと』

も条件のひとつに入っています。

 

また、これまでは

『1年以上雇用される見込みがあること』

も条件にありましたが、

法改正によって撤廃されます。

 

その代り

『2ヵ月を超える雇用見込があること』

が適用されていくことになります。

 

 

ご参考になれば幸いです。