今回は
『 60 歳以降にもらえる老後の年金5つ』
についてお話いたします。
厚生労働省のプレスリリースによると
令和3年度の年金額改定については、
昨年度から 0.1 %の引き下げ改定とのこと。
平均的な収入で試算した年金額だと、
国民年金の老後の年金である
『老齢基礎年金』は月額にして 66 円少なく
厚生年金の老後の年金である
『老齢厚生年金』(老齢基礎年金含む)は、
月額 228 円少なくなると記載されています。
わずかでも減るというのは嫌ですよね。
今年の4月分からの改定ですので、
6 月 15 日振りこみ分から変更となります。
老後の年金を『老齢年金』と言いますが、
そもそも老齢年金にはどのようなものが
あるのかご存知でしょうか?
国民年金と厚生年金からでしょ?
正解です。
その中でもいくつか種類があります。
年金を受け取る方によって
これは一緒にもらえる、
あれはもらえない年金が存在します。
60 歳以降にもらえる年金などを5つ、
広く浅くご紹介したいと思います。
年金制度で分けると、
厚生年金が3つと国民年金が2つ。
年金が3つと加算が2つとなります。
老後の年金にもいろいろあるのね、
へ〜と感じていだければ幸いです。
1)60 歳代前半からもらえる『特別支給の老齢厚生年金』
60 歳代の前半からもらえる老後の年金です。
65 歳より早く年金がもらえるから
『繰上げて年金額減る年金ですよね』
と勘違いしていましたらご注意ください。
『特別支給の老齢厚生年金』は
制度上 60 歳代の前半から
もらうことができる年金で減額されません。
該当する方は忘れずに
請求の手続きをしてください。
※該当者には請求書が届きます。
厚生年金からもらえる年金ですので
厚生年金の保険料を払っている方が対象。
会社員や公務員の方はもちろん、
パートやアルバイトの方でも可能性はあります。
この『特別支給の老齢厚生年金』
をもらえる方の条件は3つです。
1)生年月日
生年月日が昭和 36 年 4 月 1 日以前生まれの男性と、
その5年遅れで、
昭和 41 年 4 月 1 日以前生まれの女性であること。
(公務員の方は 5 年遅れ規定なく男女共通です。)
昭和 60 年の法改正によって、
年金の受け取り年齢が 60 歳から 65 歳に
切り替わった時に経過的に作られた制度です。
急に年金をもらう年齢を 5 歳遅らせるのは
人生設計が崩壊しますよね。そこで段階的に
受け取る年齢を下げていきました。
受け取る年齢は、
男性なら昭和 34 年 4 月 2 日から
昭和 36 年 4 月 1 日生まれなら 64 歳、
昭和 32 年 4 月 2 日から
昭和 34 年 4 月 1 日生まれなら 63 歳と
2 年で区切られて 1 歳ずつ減っていきます。
この生年月日がひとつ目です。
2)厚生年金加入期間
厚生年金に 1 年以上入っている方。
正社員でなくとも契約社員や
パート、アルバイトの方でも
厚生年金に加入して
働いていれば条件に合います。
いまは専業主婦の方でも
新卒で会社員勤めをしていれば
十分この条件に合う可能性がありますので
確認してみてください。
なお、この1年以上というのは
もらうための最低条件ですので、
1年を超えて長く加入していればいるほど、
もらえる金額は高くなります。
3)老齢基礎年金の受給資格期間
国民年金の老後の年金である
『老齢基礎年金』がもらえる条件を
満たしていることです。
この老齢基礎年金を貰うためには
『受給資格』と言いますが、
10 年以上の加入期間、国民年金の保険料を
原則 10 年以上払っていることが必要になります。
厚生年金に 10 年以上でも大丈夫です。
合算対象期間(カラ期間)と言って、
専業主婦や学生の方・海外在住の方などは
年金制度の切り替わりの都合で
保険料を払っていない期間もこの 10 年に
含めることができる規定も実はあります。
今回は、浅く広くですので割愛します。
生年月日・厚生年金加入・老齢基礎年金
という3つの条件を満たすと
『特別支給の老齢厚生年金』がもらえます。
2)65 歳からもらえる『老齢厚生年金』
厚生年金からもらえる老後の年金を
『老齢厚生年金』と言います。
会社などで働く会社員の方や厚生年金に
加入しながら働くパート・アルバイトの方などが
対象となります。
この『老齢厚生年金』をもらうための条件は2つです。
厚生年金へ1ヶ月以上入っていること。
国民年金の老後の年金である『老齢基礎年金』が
もらえる条件を満たしていることです。
ひとつ目の『特別支給の老齢厚生年金』の条件から、
生年月日の要件を引いて、厚生年金加入期間を
1年から 1 ヵ月に短くなった形となります。
こちらの 1 ヶ月という期間も
もらうための最低条件ですので、
長く入っているほどもらえる年金額も
増えていきます。
ちなみに、この 65 歳からの老齢厚生年金は
『繰上げ』や『繰下げ』をすることが可能です。
3)加給年金
配偶者やお子さんがいる方の老齢厚生年金に
加算される家族手当のような年金となります。
配偶者は 65 歳未満、
お子さんは 18 歳到達年度の末日までの子
1 級・ 2 級の障害の状態にある 20 歳未満の子
という年齢制限が設けられています。
該当する配偶者やお子さんがいる場合には、
年金額が上乗せされます。
この加給年金をもらうための条件は3つです。
1)厚生年金に 2 0年以上入っていること
昭和 26 年 4 月 1 日以前生まれ、
男性 40 歳以降・女性 35 歳以降 15 年~ 19 年でOK
2)65 歳以上になった時に、
生計を維持している配偶者や子どもがいること
3)その配偶者や子どもが年収 850 万円以下であること
以上3つの条件を満たすと『加給年金』が
上乗せされた年金額を貰うことが出来ます。
加給年金の金額は、配偶者の分として、
約 22.5 万円(年額)子どもの分として、
1 人目と 2 人目は各約 22.5 万円(年額)
3 人目以降は 1 人につき、約 7.5 万円(年額)
となっています。
また、老齢厚生年金を受けている方の
生年月日に応じて配偶者の加給年金額に
約 3.3 万円~約 16.6 万円の加算。
『特別加算』が付きます。
例えば、
昭和 18 年 4 月 2 日以後生まれの場合、
加給年金と特別加算合わせて
約 39 万円の増額となってきます。
4)65 歳からもらえる『老齢基礎年金』
国民年金からもらえる老後の年金を
『老齢基礎年金』と言います。
自営業やフリーランス、専業主婦を
ずっとしている方などが該当します。
とは言え、ふたつ目の『 65 歳からの老齢厚生年金』を
もらう条件のひとつ、加入期間 1 ヶ月以上ですので、
新卒の時に少しだけど会社勤めをした経験や
パート・アルバイトをした経験があれば、
少額ではありますが、老齢基礎年金と合わせて、
老齢厚生年金も一緒にもらうことができます。
老齢基礎年金の金額は、
国民年金保険料を払った期間で決まります。
国民年金に加入する期間は、20 歳から 60 歳までです。
この 40 年間、国民年金の保険料を払い続けると
満額となって年間約 78 万円、
月額にすると約 6.5 万円が 65 歳から受け取れます。
老齢基礎年金を貰うための条件は
この 40 年間のうち 10 年以上保険料を原則払っていること、
となります。
これまでに何回か登場している条件ですね。
さまざまな年金をもらうための基礎的な条件、
そのため国民年金は『基礎年金』とも
呼ばれているわけですね。
国民年金なので老齢国民年金でも良さそうなところ
『基礎年金』となっています。
この『老齢基礎年金』は、
『繰上げ』や『繰下げ』を活用することが可能です。
5)振替加算
みっつ目にお話をした加給年金。
一定の条件に当てはまる配偶者や
子どもがいる場合にもらえる加算額でしたね。
当てはまる配偶者、加給年金の対象となる配偶者が、
65 歳になると加給年金はなくなってしまいます。
ご自身の老後の年金をもらえるからです。
ですが、完全になくなるわけではなく、
配偶者自身の老齢基礎年金に
『振替加算』という金額が付くことがあります。
この振替加算を貰うための条件、
細かい規定は省いて主な3つご紹介します。
・配偶者が昭和 41 年 4 月 1 日以前生まれであること
・配偶者が 65 歳の時、国民年金の老齢基礎年金をもらえること
・配偶者が厚生年金に 20 年以上入っていないこと
以上の条件を満たすと
振替加算をもらうことができます。
振替加算の金額は、
配偶者の方の生年月日によって決まっています。
加給年金と比べると一桁少なるイメージですね。
例えば、
昭和 40 年 4 月 2 日~昭和 41 年 4 月 1 日生まれ
年額約 1.5 万です。
昭和 30 年 4 月 2 日~昭和 31 年 4 月 1 日生まれ
約 5 万円となっています。
最後にまとめますと、
60 歳代前半には、
厚生年金から『特別支給の老齢厚生年金』生年月日要件あり
65 歳からは、
厚生年金から『老齢厚生年金』と国民年金から『老齢基礎年金』
老齢厚生年金には『加給年金』が加算。
老齢基礎年金には『振替加算』が加算
それぞれ生年月日などの条件を満たすと
もらえる老後の年金でした。
ご参考になれば幸いです。
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