今回は

障害年金(厚生年金の障害厚生年金 編)

についてお話いたします。

 

日本年金機構から令和2年度の『障害年金ガイド』

が出ていますので、こちらも参考にしながら

お話をしていきたいと思います。

 

年金制度は、大きく分けて

3種類の年金が用意されています。

 

1.老齢年金(老後の年金)

原則は65歳からもらえる年金、

中には60歳代前半にもらえる方もいます。

また、60歳から70歳まで年金をもらう、

年齢を早くしたり遅くしたりできる

『繰上げ』『繰下げ』制度もあります。

 

2.障害年金(障害を負ってしまった際の年金)

けがや病気によって、生活に支障をきたす場合や

仕事をする際にできる業務が制限されるような場合に、

もらうことができる年金です。

 

3.遺族年金

一家の支え手が亡くなってしまった際、

その遺族が受け取る年金

 

今回は、障害年金についてお話いたします。

障害年金は、現役世代の方も受け取ることが可能ですので、

知っておいて損はない知識になるかと思います。

 

 

老後の年金はいろいろと種類があって

ややこしい面があります。

 

厚生年金だけをとっても『老齢厚生年金』

『特別支給の老齢厚生年金』『繰上げ繰下げ』

『加給年金』『在職老齢年金』など。

 

老後の年金と比較すると

障害年金はとてもシンプルです。

 

障害年金の主な給付は、

国民年金の『障害基礎年金』と

厚生年金の『障害厚生年金』

それと一時金の『障害手当金』この3つです。

とても簡単。

 

さらに、もらえる年金の区分けも、

けがや病気で初めてお医者さんに診てもらった日、

初めて診てもらった日で『初診日』といいますが、

この初診日において、

国民年金に加入していた場合は『障害基礎年金』、

厚生年金に加入していた場合は『障害厚生年金』を請求、

もらうことができます。

 

この点はとても重要です。

けがや病気で初めてお医者さんに診てもらった日、

初めて診てもらった日『初診日』において、

会社員や公務員の方、パートやアルバイトの方、

厚生年金に入っているか否かでもらえる年金が

1つなのか2つになるのかが決まってくる

ということです。

 

では、厚生年金の障害厚生年金について

詳しくみていきましょう。

 

障害厚生年金をもらうための条件

厚生年金保険の被保険者である間に、
障害の原因となった病気やけがの初診日があること

初診日とは、けがや病気になった際に、

初めてお医者さんに診てもらった日でしたね。

 

この初診日において会社員や公務員の方

、パートやアルバイトの方、

厚生年金に入って働いている方が

対象になるというわけですね。

 

障害の状態が、障害認定日に、障害等級表に定める
1級から3級のいずれかに該当していること

 『障害認定日』とは、障害の状態を定める日のことで、

その障害の原因となったけがや病気についての

初診日から1年6ヶ月を経過した日、

または 1 年 6ヶ月以内にそのけがや病気が

治った場合(症状が固定した場合)は

その日を障害認定日といいます。

 

ですので、障害年金はすぐにパッともらえる

年金ではないということがわかります。

 

初診日から1年6ヶ月経過するか症状が固定するか、

さらに障害等級表に該当するかも

必要になるというわけです。

 

障害等級表とは、どのような表なのか気になるところ。

対象となる症状が記載されている表になります。

 

例えば、1級の場合、両眼の視力の和が0.04以下のもの、

2級の場合、両眼の視力の和が0.05以上0.08以下のもの、

などがあります。

今回の例は視力に関するものですね。

 

保険料の納付要件を満たしていること

国民年金の保険料をきちんと支払っているかみられます。

厚生年金や共済組合への加入期間であれば

それらの保険料に国民年金の保険料が

含まれているので同じ意味合いになりますので

大丈夫です。

 

初診日の前日において、

初診日がある月の2カ月前までの被保険者期間で、

国民年金の保険料納付済期間

(厚生年金、共済組合の期間を含む)と

保険料免除期間をあわせた期間が3分の2以上あること。

 

なお、

納付要件の特例もありますのでご紹介しますね。

3つです。

・初診日が令和8年4月1日以前にあること

・初診日において65歳未満であること

・初診日の前日において、初診日がある2カ月前までの

直近1年間に保険料の未納期間がないこと

 

以上3つを満たすことでも大丈夫です。

過去1年間をみますよというわけですね。

 

細かいことですが、『初診日の前日において』と

前置きがある理由は、初診日に払っていない保険料を

後から支払うことで障害年金の納付用件を

満たすことができないよう

『初診日の前日において』となっています。

 

障害厚生年金の金額については

障害の状態により、障害厚生年金は

1級~3級の年金をもらうことができます。

 

また、障害厚生年金の1級・2級に該当する場合は、

障害基礎年金もあわせて受け取ることができます。

 

厚生年金の障害厚生年金はもらっている

給料などの金額によって年金額が決まります。

計算式を紹介いたします。

 

障害等級1級 

報酬比例の年金額 ×1.25 +(配偶者の加給年金額)

障害等級2級 

報酬比例の年金額 +(配偶者の加給年金額) 

障害等級3級 

報酬比例の年金額(584,500円に満たないときは、584,500円)

 

報酬比例とは、その名の通りで給料など

もらっている金額に比例してもらえるという意味です。

報酬比例の年金額は2つの計算式からなっています。

なぜ2つかと言うと計算方式の変更があったためです。

 

1.平成15年3月以前の加入期間の金額

平均標準報酬月額 × 7.125/1.000 × 平成15年3月までの加入期間の月数

平均標準報酬月額とは、

平成15年3月以前の標準報酬月額の総額を、

平成15年3月以前の加入期間で割って得た額です。

 

標準報酬月額とは、

会社からもらう毎月の給料などを

区切りのよい金額の幅で区分した金額のことです。

 

2.平成15年4月以後の加入期間の金額

平均標準報酬額 × 5.481/1.000 × 平成15年4月以降の加入期間の月数

平均標準報酬額とは、

平成15年4月以降の標準報酬月額と、

標準賞与額の総額を平成15年4月以降の加入期間で

割って得た額です。

 

加入期間の月数については、

みなし規定というものがありまして、

加入期間の合計が、300月(25年)未満の場合は、

300月とみなして計算します。

 

少なくとも25年分としての年金額を

保障してくれるというわけです。

もちろん、障害認定日がある月後の加入期間は、

年金額計算の基礎となりません。

 

1級・2級の障害厚生年金については、

生計を維持されている配偶者がいる場合、

加給年金額が加算されます。

 

加給年金額は、224,300円で配偶者は

65歳未満であることが条件となります。

(大正15年4月1日以前に生まれた

配偶者には年齢制限はありません)

 

また、配偶者が、老齢厚生年金、

退職共済年金(加入期間20年以上など期間の短縮特例に限る)

障害年金を受け取る間は、

「配偶者加給年金額」はもらうことはできません。

 

障害厚生年金をもらうためには、

年金の請求手続きが必要です。

障害認定日に法令に定める障害の状態にあるときは、

障害認定日の翌月分から年金をもらうことができます。

 

この請求を『障害認定日による請求』と言います。

 

また、障害認定日に法令に定める

障害の状態に該当しなかった場合でも、

その後病状が悪化し、法令に定める障害の状態に

なったときには請求日の翌月から

障害年金をもらうることができます。

 

この請求を『事後重症による請求』と言います。

 

請求するためには、

事前に保険料の納付要件や手続きに

必要な書類(医師の診断書など)が必要になりますので、

気になる方はぜひ一度お近くの年金事務所に

ご相談してみてはいかがでしょうか。

 

ご参考になれば幸いです。