今回は
『再雇用 給与が減ったら雇用保険で補てん!』
についてお話いたします。
会社員の方、会社などで働いている方、
お勤めの会社の多くは定年が
60歳ではないでしょうか。
あなたの会社はいかがでしょうか。
現在は、高年齢者雇用安定法という法律もあって、
会社に対して
『65歳までは働くことが出来る措置を整備すること』
が義務付けられています。
ですので、定年の年齢を60歳から後ろに下げる
『定年の延長』や
定年そのものをなくしてしまう
『定年の廃止』、
そして今回のテーマとなる、
一旦区切りをつけて『再雇用』。
この3つの中のいずれかが
導入されているかと思います。
とは言え、実際は
厚生労働省 令和元年 高年齢者の雇用状況 によると、
定年の廃止を導入している企業は2.7%、
65歳以上の定年制度を導入している企業は
19.4%となっています。
残りの約78%は継続雇用、
再雇用を導入しているという結果。
この集計結果から、
60歳以降働いている会社員の方の多くは
『再雇用』という流れで
働いていることがわかります。
お察しの通り、なぜ再雇用が多いのかと言えば、
60歳という区切りをつけて、
労働条件の見直しなどがしやすいから、
ですよね。
つまり、この機会に給料を
下げてくることが多いわけです。
さきほどの結果を見れば、
60歳以降働いている会社員の方の約78%、
この方たちの給与は減額されている
可能性があるということです。
60歳未満の方であっても
知っておいて損はありません。
また、60歳前後で働いているご家族がいる方も、
知っておいて損はない給付金のお話となります。
今回お話する給付は、雇用保険となります。
雇用保険と言えば失業保険と言ったり、
失業給付と言ったり、会社を辞めた時に
一定額のお金がもらえる制度という印象が
強いと思います。
もちろん色々な給付は用意されていて、
その中にある『高年齢雇用継続給付』が
今回ご紹介する給付となります。
この高年齢雇用継続給付は2種類用意されていて、
○ 高年齢雇用継続基本給付金
○ 高年齢再就職給付金
があります。
『高年齢』とはここでは
60歳から65歳までを指していますので、
60歳以上で雇用が継続された方への
基本的な給付という意味合いの
高年齢雇用継続基本給付金と、
60歳以上で再就職した方への給付という
意味合いの
高年齢再就職給付金の2つと
考えていただければと思います。
今回は基本的な給付金となる
高年齢雇用継続基本給付金のお話です。
高年齢雇用継続基本給付金とは、
どのようなものかざっくりと言えば、
60歳以後の賃金(給与)が
60歳時点の給与の金額と比較して、
3/4未満に減っていたらもらえる給付金です。
高年齢雇用継続基本給付金をもらうための条件は4つです。
1 失業手当(基本手当や再就職手当など)を貰っていないこと
60歳以後も引き続き働く方を対象としている給付金です。
ですので、会社などを辞めたら一度失業手当を貰ってから、
少し休憩を挟んでからとお考えの方は注意してください。
対象外となってしまいます。
2 60歳以後の給料が一定割合未満に減っていること
一定割合とは。75%未満、3/4未満に減っていること。
何と何を比較して判断するのかと言いますと、
60歳時点での賃金(給与)と
60歳以後の給与(新しい給料の金額)とを比較して、
60歳時点の金額の75%未満となっていること。
例えば、これまで40万円だった給料が、
60歳以後の契約においては29万円台に
減っていたら対象というわけですね。
40万円の3/4が30万円ですからね。
なお、この給与については
「各月に支払われた賃金額」と規定されていますので、
実際に支払われた給与、残業代や通勤代などの各種手当も
含めての金額となります。賞与、ボーナスは含みません。
細かい話、60歳時点での賃金(給与)とは、
60歳に達する直前の6箇月の給与総額の平均額となります。
3 被保険者であった期間が5年以上あること
雇用保険に加入していた期間が5年以上あること。
「被保険者期間」ではなく「被保険者であった期間」
という言い回し。
違う会社へ転職する際の転職期間が
あっても大丈夫だからです。
会社を辞めた日(離職した日の翌日)から
再就職した日の前日までの期間が
1年以内であればこの5年に含めることが可能です。
つまり、会社を辞めてから1年以内の再就職で
あってもこの給付の対象となるわけです。
ただし、この1年の間に雇用保険の給付を
貰ってしまうと通算はできなくなるので
お気を付け下さい。
4 60歳以上65歳未満の方で、一般被保険者であること
60歳以上65歳未満で雇用保険に加入している、
働いている方ということですね。
ちなみに高年齢雇用継続基本給付金は、
65歳になるまで貰うことができます。
60歳以上であったとしても、
雇用保険の加入期間が5年となった時から
もらうことができます。
以上、4つの条件を満たすと
高年齢雇用継続基本給付金がもらえる
ということになります。
では、高年齢雇用継続基本給付金、
気になる金額はいくらなのか。
最大で新しい給料の15%の金額となります。
さきほど、60歳時点での給料と
60歳以後の給料(新しい給料の金額)とを比較して、
60歳時点の金額の75%未満となっていることが
もらえる条件とお話しました。
このパーセンテージが61%未満となる場合、
15%相当の金額となります。
例えば、60歳前の給料が35万円としましょう。
60歳で再雇用となりその後にもらう給料の金額が、
30万円となった、計算すると以前の給料35万円の
約85%なので75%未満となっていないため対象外。
では28万円だと、80%でまだ対象外。
26万円だと、約74.2%。
ここで初めて75%未満となり対象となるわけですね。
そして、21万円まで下がると60% 61%未満で15%。
給付金は31500円(21万円×15%)。
新しい給料と給付金を足すと、
241,500円(21万円+31500円)。
以前の給料の69%となりました。
ちなみに21万円までは下がらずに
23万円の場合で計算してみると、
この場合の給付金の乗率は、9.48%。
ですので、給付金が約21,800円
合計額は、251,800(以前の給料の約72%)
つまり、高年齢雇用継続基本給付金は、
以前の給料の7割前後の金額を
確保できるよう乗率が決められていることがわかります。
なお、基本給付金には上限額があります。
月の給料が36万3344円以上の場合、
この給付金は出ません。
また、新しい給料と基本給付金の合計が
36万3344円を超える場合はその差額が
給付金の金額となります。
また、計算された給付金の金額が
2000円以下の場合も支給されません。
高年齢雇用継続給付の申請の手続については、
原則、会社が行います。
しかし忘れている場合もありますので、
気になる方、給料が75%未満になった方は
お勤めの会社の総務部や管理部門に
『高年齢雇用継続給付』という制度が
あるみたいなのですが、
と確認してみてもいいと思います。
ちなみに、
もし自分で申請の手続きを行う場合には
お勤めの会社の住所地の
ハローワークで申請することが可能です。
ご参考になれば幸いです。
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