今回は
『 2022 年 4 月と 5 月の年金法改正』
についてお話いたします。
簡単に改正の内容を紹介すると
『 65 歳以降に給料と年金をもらうと
毎年年金額が増えます』が
4 月の改正内容です。
『 50 歳代でも老後の資金を
増やせる選択肢が増えます』が
5 月の改正内容となります。
65 歳以降に給料と年金をもらうと毎年年金額が増えます
2022 年 4 月からは
『毎年年金額が増えます』
と改正されるわけですから、
それまで『毎年年金額は増えていない』
ということでもあります。
65 歳以降会社などで
働いている方がいらっしゃる。
厚生年金に加入し
年金保険料が給料から天引きされる。
また、年金は65歳からですので、
給料と年金を受け取っています。
年金を受け取りながら、
保険料が天引きという
不思議な状態ではあります。
年金の保険料を払っていますから
その分年金額が増えます。
ここまではいいでしょうか。
では、ここで問題です。
その分の年金額は
いつ増えるのか
いつ反映されるのか。
正解は
『会社を退職した1カ月後』
もしくは
『 70 歳になった時』
に見直されます。
これまでは 65 歳から 70 歳まで
会社勤めをしていても、
その間は保険料を支払うだけ
という状態だった訳です。
そこが法改正によって、
毎年決まった時期に年金額が
改定される仕組みに変更されます。
正式名称は
『在職定時改定』と言います。
毎年 1 回、9 月 1 日時点で
厚生年金の加入者であれば、
8 月までの加入実績に応じて
10 月から年金額が改定されます。
増えた年金額が振り込まれる、
手元に届くのは 12 月となりますね。
増えた年金が手元に届く時期が
1年ごとになるということです。
では、毎年いくら増えていくのか。
厚生年金の老後の年金は
『老齢厚生年金』です。
この年金の金額は、
給料と賞与などから計算されます。
65 歳以降働いた場合、
給料の金額と賞与1ヵ月分の金額、
合わせて月 10 万円の場合だと、
翌年の年金は約 7,000 円増えます。
月 20 万円だと、
翌年の年金は約 13,000 円増え、
月 30 万円だと、約 20,000 円
増えます。
さらに、厚生年金への加入期間が
40 年未満だと
『経過的加算』という金額も
加算されることになります。
50 歳代でも老後の資金を増やせる選択肢が増えます
厚生年金と国民年金、
公的年金を補う制度として、
確定拠出年金という制度があります。
この確定拠出年金には
『企業型』と『個人型』があって、
今回は個人型確定拠出年金
(愛称iDeCoイデコ)
の改正点をご紹介いたします。
イデコとは、
ご自身で選んだ金融機関などに
専用口座を開設して、
毎月ご自身で決めた金額を支払って、
選んだ投資信託などの商品を運用して、
60 歳以降に一時金または年金で
受け取る制度となります。
『ご自身で』を繰り返した通り、
すべてあなた自身で決める制度です。
自由でもあり自己責任でもあります。
もちろん、老後の資産を増やせますが
減ることもあります。
本題に戻って
改正点は、
イデコへの加入対象者の拡大です。
加入できる年齢は59歳までしたが、
2022 年 5 月の改正によって、
64 歳まで(65歳未満)引き上げられます。
ただし、 60 歳以降も会社などで
働くことで厚生年金に加入する、
国民年金の任意加入制度を使って
国民年金へ加入するといったように、
60 歳以降も年金制度に加入が条件です。
60 歳以降も働こうと考えている方、
厚生年金に加入となる方であれば、
64 歳までイデコに入ることができます。
50 代の方でも資産運用できる期間が
ある程度確保できるかも知れません。
これまでは 59 歳まででしたので、
50 代の方にとっては
一度検討してみてはいかがでしょうか。
今回の加入対象者の拡大、
実は 2017 年の 1 月にも
加入対象者の拡大の改正がありました。
こちらの改正は大幅な拡大で、
国民のほぼすべての方が
イデコへ加入できる改正でした。
公的な年金だけでなく、
個人でも老後の資産を増やせる様
国が用意したとも言えます。
そのため、手厚い税制優遇などの
お得な特典が用意されています。
ちなみに、2021 年 8 月時点の
加入者は 214 万人を突破しています。
どのようなところがお得か、3つご紹介します。
掛け金が全額所得控除
所得税や住民税の負担の軽減に繋がります。
翌年の税金を安くできる可能性が上がります。
所得控除とは、簡単に言えば、
税金を計算するために所得の金額から
差し引くものです。
掛金の金額分少なくなるので、
所得税と住民税が安くなるという流れです。
運用益が非課税
通常の証券口座で投資を行う場合、
得た利益に対して約 20 %の税金がかかります。
この部分が非課税です。
一般的な取引よりも資産を
増やしやすい仕組みがあるということです。
退職控除や公的年金等控除
増やした試算を受け取る時、
控除が使えます。
計算する時に税施上のメリットが
あるということです。
今回は、加入対象者拡大がテーマですので、
制度の詳しい内容には触れません。
ちょっと興味が湧いた方は
グーグルなどの検索サイトで
『イデコ 〇〇銀行』『イデコ ○○証券』
などと調べでみてください。
ご参考になれば幸いです。