今回は

公的年金の積立金

についてお話いたします。

 

老後を支える年金の仕組みを簡単にご説明すると、

公的年金制度は現役世代が支払っている保険料で、

その時代の高齢者世代に年金を給付する

賦課(ふか)方式』をとっています。

 

お察しの通りこのまま少子高齢化が進めば

保険料を支払う現役世代が少なるため、

年金給付の財源も少なくなってしまいます。

 

もちろん、

そのようなことは以前からわかっていて、

対策は打たれています。

 

ざっくり4つほどご紹介すると

 

保険料率の上限の固定

現役世代の減少に伴って青天井で負担が

重くなっては大変ですので、

厚生年金の保険料率は18.3%(労使折半)

に固定されています。

 

基礎年金の半分を国庫負担で

基礎年金(国民年金)の給付額の半分を

税金(国庫負担)でまかなっています。

 

年金積立金の活用

将来の世代の年金給付への備えとして、

今後おおむね100年で、

積立金を計画的に活用していきます。

 

人口の伸び、寿命の伸びに合わせた給付水準

現役世代の減少の推移や

平均余命の伸びなどを社会情勢も踏まえつつ、

年金の給付水準を自動的に調整する

マクロ経済スライド』を導入しています。

 

 

今回は、3つ目の『年金積立金の活用』を

テーマにお話をいたします。

 

まず、年金給付の財源は

どのようになっているのかご存じでしょうか?

 

年金の主な財源は、年金の保険料と

国庫負担(税金)の2つです。

 

この2つの財源で年金の給付額を

すべてまかなえるならいいのですが、

現役世代が減ってくればそうもいかなくなります。

 

保険料率の上限を固定しても人口減少には

どこまでも対応はできません。

そこで、現役世代の負担を少しでも抑えるべく

『公的年金の積立金の運用』が行われています。

 

集めた保険料をむやみやたらに

運用するのではなくて、年金受給者のための

年金財源は確保したのち、

余ったお金を積立金として運用していきます。

 

財源が不足した時に備えて貯めておき、

さらに運用して増やしていく施策がとられています。

 

では、私たちの大切な年金の積立金を

運用している組織をご存じでしょうか?

 

その組織は

年金積立金管理運用独立行政法人(通称GPIF)

と言います。

 

私たちが支払った年金の保険料から

集められた公的年金積立金は、

厚生労働大臣の預託により、GPIFが信託銀行や

投資顧問会社などの運用受託機関を通して

国内外の債券市場や株式市場で運用しています。

債券や株式を購入しているわけですね。

 

債券とは、国や政府・地方公共団体、

企業などが、資金を投資家などから

借り入れるために発行する有価証券の一種です。

 

株式よりはリスクが少ない、

値動きの幅が少ないということで

大きく増えることはないけども

大きく減ることも少ない

安定した性質をもっています。

 

細かい話はここまでにして。

 

令和2年度の運用実績が過去最大

およそ 37 兆 8,000 億円の黒字に、

収益率はプラス 25.15 %と、

いずれも過去最大という発表が

7 月初めにありました。

 

その理由として GPIF は、

主要国が景気対策のために財政出動を行い、

国内外の株価が上がったことと分析しています。

 

今年 3 月末現在で運用する資産の総額は、

およそ186兆円となったとのことです。

金額の桁が大きすぎてよくわかりませんね。

 

これなら年金制度は安泰と思いきや、

さきほどご紹介した通りこの積立金の目的は

現役世代の負担を抑えることです。

 

運用結果が良かったから来年の年金は

増額され保険料は安くなったり、

反対に運用結果が悪かったから

年金は減額されて保険料は高くなったり

いうことは起こりません。

 

あくまで年金の財源は年金保険料と

国庫負担分(税金)の2つ、

必要に応じて積立金となっています。

 

現時点では、年金財源全体のうち、

積立金からまかなわれるのは

約1割となっています。

いずれこのあたりが

変わってくればいいですよね。

 

現実的な話をすれば、

GPIFの運用実績については、

単年度で見るとマイナスの年度もあります。

 

ですが、公的年金は長期にわたって

財政の均衡を図っていく制度なので、

ある程度長いスパンでみてあげる姿勢も

大切だと思います。

 

今回の運用結果が特別良かっただけで

いい時も悪い時もあり得るわけですね。

最終的に積立金が増えていけば

いろいろと選択肢も生まれてきますしね。

 

積立金の目的は、

年金財政の安定化に活用することとなっています。

 

積立金はおおむね100年をかけて、

計画的に活用していきます。

当初は年金給付の一部に積立金の運用収入を充て、

一定期間後からは運用収入に加えて、

積立金を少しずつ取り崩し、

最終的におおむね100年後に年金給付の

1年分程度の積立金が残るよう、

積立金を活用していく財政計画が定められています。

 

今回は、『公的年金の積立金』

堅苦しいお話となりましたが、テレビや新聞、

ネットなどで GPIF と出てきましたら、

年金の積立金の話題だなと思って

いただけるようになったのではないでしょうか。

 

ご参考になれば幸いです。