今回は
『60歳代前半にもらえる老後の年金5つ』
についてお話いたします。
厚生労働省のプレスリリースにおいて、
令和2年度の年金額改定について
お知らせが出ています。
年金額は昨年度から0.2%のプラス改定です。
とのこと。
0.2%だと微増ですよね。
まあ減るよりはいいでしょう。
4月分から改定ですので、
実際は6月15日振りこみ分からということになります。
年金をもらっている方は、
金額を気にしてみてはいかがでしょうか。
まだ、年金をもらう年齢ではないという方。
原則年金は65歳でもらうところ、
60歳代前半からもらえる年金があることは
ご存知でしょうか。
「前倒しでもらう繰上げ支給という制度でしょう。
知っているけど、年金額減ってしまうのでしょ!」
と思った方。
残念ながら不正解です。
実は、60歳代前半からもらえる老後の年金があります。
名前を『特別支給の老齢厚生年金』と言います。
名前にある通り、厚生年金からもらえる、
原則よりも少し早めにもらえる特別な年金となります。
先ほどの繰下げ支給の年金とは別物です。
もちろん、条件はあります。
そこで今回は、知っているようで知らない、
60歳以降にもらえる老後の年金を
5つご紹介したいと思います。
1.60歳代前半からもらえる『特別支給の老齢厚生年金』
ひとつ目は60歳前半からもらえる
『特別支給の老齢厚生年金』です。
厚生年金からもらえる年金ですので
厚生年金保険料を払っている方が対象です。
ずっと自営業やずっとフリーランスをやってきた
という方は対象外となる可能性があります。
もらうための条件は3つです。
生年月日が昭和36年4月1日以前生まれの男性か
昭和41年4月1日以前生まれの女性であること
昭和60年の法改正によって、
年金の受け取り年齢が60歳から65歳に
切り替わった時に経過的に作られた制度です。
急に年金をもらう年齢を5歳遅らせるのは
人生設計が崩壊しますよね。
生年月日の条件に合う方は60歳前半でも
年金が貰えるということになります。
受け取る年齢については、
男性なら昭和34年4月2日から
昭和36年4月1日生まれなら64歳、
昭和32年4月2日から
昭和34年4月1日生まれなら63歳と
2年で区切られて1歳ずつ減っていきます。
この生年月日がひとつ目です。
厚生年金に1年以上入っている方
この1年以上というのは最低条件です。
長く加入していればしているほど、
もらえる金額が高くなります。
正社員でなくとも、パートやアルバイトであって
も厚生年金に加入して働くこともありますので、
正社員として働いた記憶がない方であっても
条件に合う可能性がありますので
確認してみてください。
ちょっと確認してみようかな?と思った方は、
『ねんきんネット』に登録して確認するのが
お勧めです。
国民年金の老齢基礎年金が貰える方
ご存知と思いますが厚生年金に入っていれば
国民年金にも入っていることになります。
会社員などの方は厚生年金と国民年金の両方から
老後の年金を貰えるというわけですね。
この老齢基礎年金を貰うためには
受給資格と言いますが、10年以上の加入期間、
国民年金の保険料を10年以上払っていることが
原則必要になっています。
細かい話をすれば、合算対象期間(カラ期間)と言って、
専業主婦や学生の方・海外在住の方などについては
年金制度の切り替わりの都合で
保険料を払っていない期間も
この10年に含めることができる規定も実はあります。
以上、生年月日・厚生年金に1年以上加入・
国民年金に10年以上加入という3つの条件を
満たすと特別支給の老齢厚生年金が貰えることになります。
2.65歳からもらえる『老齢厚生年金』
厚生年金から貰える老後の年金を
『老齢厚生年金』と言います。
会社で働く会社員の方や厚生年金に
加入のパート・アルバイトの方などが
対象となります。
厚生年金の保険料を1ヶ月以上入っていた方で、
かつ国民年金の保険料を原則10年以上
払った方は65歳から老齢厚生年金を
貰うことができます。
こちらが通常の厚生年金からもらえる
老後の年金を指します。
ひとつ目は「特別支給の」と付いていましたよね。
条件にある厚生年金1ヶ月以上入っていた、
とは最低条件ですので、長く入っているほど
もらえる年金額も増えていきます。
国民年金の保険料10年以上という条件も
ありますので、該当すれば
厚生年金から老齢厚生年金、
国民年金から老齢基礎年金の2つを
同時にもらうことが可能です。
概算額を知る簡単な方法は、
『ねんきん定期便』を確認するか
『ねんきんネット』に登録して
確認してみるのがいいですね。
先ほどご紹介した『特別支給の老齢厚生年金』とは
別物ですので分けて考えてください。
3.加給年金
『加給年金(かきゅうねんきん)』と読みます。
配偶者やお子さんがいる方の老齢厚生年金に
加算される家族手当のような年金です。
配偶者は65歳未満、
お子さんは18歳到達年度の末日までの間の子。
または1級・2級の障害の状態にある20歳未満の子。
その分、年金額が上乗せされて金額が増えるわけですね。
もらうための条件は3つです。
厚生年金に20年以上入っている
65歳以上になった時に、生計を維持している配偶者や子どもがいる
その配偶者や子どもが年収850万円以下である
以上3つの条件を満たすと
『加給年金』が上乗せされた年金額を
貰うことが出来ます。
例外もいくつかありますが細かい内容なので省きます。
加給年金の金額は、配偶者の分として、
224,900円(年額)子どもの分として、
1人目と2人目は各224,900円(年額)
3人目以降は1人につき、75,000円(年額)となっています。
厚生年金20年・65歳で配偶者やお子さんがいる・
年収850万円以下を満たすと
加給年金が貰えることになります。
注意点です。
加給年金は老齢厚生年金に増額される年金です。
老齢厚生年金の受け取り時期を66歳以降に
繰り下げて増えた年金を貰う場合、
加給年金も貰う時期は一緒となり繰下げとなります。
しかし、加給年金の増額はありませんので気を付けてください。
4.65歳からもらえる『老齢基礎年金』
国民年金からもらえる老後の年金を
『老齢基礎年金』と言います。
自営業やフリーランス、専業主婦の方などが
該当します。
該当するとは言え、
先ほどの65歳からの老齢厚生年金を
もらう条件のひとつ、
加入期間1ヶ月以上がありました。
新卒の時に少しだけど会社員をしたとか
パートをした経験があるとか、
厚生年金に入っていた期間が少しでもあれば、
この65歳からの老齢基礎年金と合わせて、
65歳からの老齢厚生年金も一緒に貰えるかも知れません。
ちなみに国民年金に加入する期間は、
20歳から60歳までです。
この40年間国民年金の保険料を払い続けると
満額の年間約78万円、
月額にすると約6.5万円が65歳から受け取れます。
老齢基礎年金を貰うための条件は
この40年間のうち10年以上保険料を
原則払っていることとなります。
金額については、仮に払った期間が10年の場合だと、
加入期間最大の40年の1/4ですので、
満額の1/4、年間約19.5万円となります。
5.振替加算
先ほどお話をした加給年金は、
一定の条件に当てはまる配偶者や
子どもがいる場合に貰えますとお伝えしました。
この当てはまる配偶者、
加給年金の対象となる配偶者が、
65歳になるとご自身の年金をもらうこととなり、
加給年金はなくなってしまいます。
完全になくなるわけではなく、
その代りに、配偶者自身の老齢基礎年金に
『振替加算』が付くことがあります。
振替加算を貰うための条件は3つです。
細かい規定は省いて大きなところ3つご紹介。
配偶者が昭和41年4月1日以前生まれである
配偶者が65歳の時、国民年金の老齢基礎年金を貰える
配偶者が厚生年金に20年以上入っていない
以上の条件を満たすと振替加算を貰うことができます。
もらえる加算については、
生年月日によって金額が決まっています。
一番多く設定されている生年月日は、
昭和2年4月1日以前生まれの方で
加給年金の金額と同額の224900円、
一番少なく設定されている生年月日は
昭和40年4月2日~昭和41年4月1日生まれの方で
約1.5万となっています。
注意点です。振替加算は、
配偶者の老齢基礎年金に加算される年金です。
こちらも繰下げによる増額はなく
繰り下げた年齢から一緒に貰うことになります。
例えば、振替加算を貰える方が
66歳に繰り下げた場合は、
1年間振替加算がない期間ができますので
注意してください。
以上の5つの年金、まとめますと、
60歳代の前半には、特別支給の老齢厚生年金
65歳からは、老齢厚生年金と老齢基礎年金
老齢厚生年金には、加給年金の加算
老齢基礎年金には、振替加算の加算
が用意されており、条件に該当すれば
その対象となった年金が貰えるという仕組みです。
ご参考になれば幸いです。
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