今回は

休業手当 会社を休むともらえるの?

について話します。

 

新型コロナウィルスの影響によって、

在宅勤務(テレワーク)や

時差出勤(フレックスタイム)の導入が

進んでいます。

 

在宅勤務については、

働く方の自宅において仕事ができる環境を

作れるのであれば問題ないですし、

時差出勤については、いつも通り会社に

行きますから問題ない訳です。

何が言いたいのか、何が問題なのか。

 

働くことができる、は「問題ない」です。

が、働くことができない、

は「問題」ですよね。

給料がもらえないわけですから。

 

在宅勤務や時差出勤ができない、

インフラが整っていなかったり、

お客様と面と向かって

サービスをする業種であったり、

今後は、いや、すでに始まっていますが

会社やお店を一時的にでも閉めるところが

出てきています。

 

 

このような場合、働くことができない、

働かせてもらえない。すなわち給料がでない。

 

働く側からすれば、一方的に「休んでください」と

言われている状況です。

生活はどうする?補償はされるのか。

という大きな不安が生まれると思います。

 

この補償、メディアや新聞などでは、

会社を休んだ時に支払われる、

もらえる『休業手当』について

言及されています。

 

厚生労働省が発表している

「新型コロナウイルスに関する

Q&A(労働者の方向け)令和2年3月25日時点版」の

一部も紹介したいと思います。

 

休業とはどのようなものがあるのか

そもそも「休業」とは、

働く日(労働義務のある日)だったところ、

何かの理由ができてその労働義務が免除された、

働く必要がなくなった日を「休業」と言います。

業を休む、仕事を休むと書きますしね。

 

休暇も一緒です。

例えば、有給休暇も働く日を

休みの日にしますよね。

日曜日を有給休暇にする方はいないですよね。

「休日」は働かなくていい日

(労働義務のない日)ということになります。

 

話を戻して、

休業としてき法律で定められているものは5種類です。

 

1.業務上の負傷・疾病の療養のための休業(労基法)

仕事中や通勤途中に起きたケガや病気によって、

その療養のために休む場合

 

2.産前産後の休業(労基法)

出産予定日の6週間前(多胎妊娠の場合は14週間前)

産後8週間休む場合

 

3.使用者の責めに帰すべき事由による休業(労基法)

会社側の責任で、

会社の都合によって働くことができない場合

 

4.育児休業(育児介護休業法)

 1歳未満の子を育てる、育児のために休む場合。

男性女性、性別問わず取得可能

 

5.介護休業(育児介護休業法)

要介護状態の配偶者や父母、子ども、

配偶者の父母がいる場合

 

以上、5種類の休業の規定があります。

この中の3つ目の休業、

使用者の責めに帰すべき事由による休業に

この度の新型コロナウィルスの影響によるお休みは

該当するのかと注目が集まったわけですね。

 

では、

使用者の責めに帰すべき事由による

休業について掘り下げてみましょう。

 

労働基準法 第26条において、

会社に責任のある、会社の都合によって

社員、働く方を休ませた場合、

働く方の最低限の生活を保障するため、

お休みの期間は休業手当を

を支払わなければならないとされています。

 

休業手当とは具体的にいくらかと言えば、

平均賃金の60%以上の金額となります。

 

平均賃金の計算方法は、休んだ日以前3か月間に

もらった給料の総額を、その期間の総日数で

割った金額となります。

 

簡単な例をあげると、

3箇月間の給料の総額が90万円で

総日数が90日なら1日1万円、

その60%の6000円以上は

支払ってくださいという規定ですね。

 

厚生労働省の

「新型コロナウイルス感染症の影響を受ける働く皆さまへ」

パンフレットの一部をご紹介します。

 

○ 休業手当の支払いが必要となる主な例

 

会社が、発熱などの症状があるという理由だけで、

労働者に一律に仕事を休ませる措置をとる場合

 

・会社が「帰国者」や新型コロナウイルス感染者との

「接触者」である労働者について、

労働者が「帰国者・接触者相談セン ター」に

相談した結果、職務の継続が可能と

言われたにもかかわ らず、

会社の判断により休ませる場合

 

○ 休業手当の支払いが必要とならない主な例

 

発熱等の症状があるため、
労働者が自主的に会社を休む場合

 

・都道府県知事が行う就業制限により、
労働者が休業する場合

 

ポイントは、文章の主語にあります。

会社が行動を起こす場合は休業手当の支払いが必要で、

労働者が行動を起こす場合は休業手当の支払いが

必要とならない。

あくまでご紹介の文章からの解釈ですが、

このポイントはぜひおさえておいてください。

 

厚生労働省が発表している

「新型コロナウイルスに関するQ&A(労働者の方向け)

令和2年3月25日時点版」の一部、

5つの質問と回答を簡潔に簡単にしてご紹介します。

 

1)新型コロナウイルスに感染したため会社を休む場合、
休業手当は支払われますか。

都道府県知事が行う就業制限により

労働者が休業する場合は、

一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に

該当しないと考えられますので、休業手当は支払われません。

 

2)発熱などの症状があるため自主的に
会社を休もうと考えています。休業手当は支払われますか。

新型コロナウイルスかどうか分からない時点で、

発熱などの症状があるため労働者が

自主的に休まれる場合は、

休業手当の支払いの対象とはなりません。

 

この2つの質問の回答から、

3/25時点では新型コロナウィルスの影響によって

会社を休んだ場合は休業手当の対象とはならないと

いうことですね。

働く方が自らの行動によって

会社を休んだという取扱いなのでしょうね。

今後はまた違った取扱いとなるかも知れません。

 

3)発熱などがあるため、年次有給休暇を取得して
会社を休むことはできますか。

年次有給休暇は、

原則として労働者の請求する時季に

与えなければならないものですから、

理由を問わず取得することは可能です。

 

4)パートタイム労働者、派遣労働者、有期契約労働者も、
休業手当の支払いや年次有給休暇の付与の対象となりますか。

労働基準法上の労働者であればパートタイム労働者、

派遣労働者、有期契約労働者など、

多様な働き方で働く方も含めて、

休業手当の支払いや年次有給休暇付与が

必要となっております 。

 

5)労働基準法における休業手当や
年次有給休暇などは、外国人の労働者にも適用されますか。

労働基準法の適用があるか否かに、

外国人であるかは関係ありません。

 

ご紹介の通り、

厚生労働省の3/25時点での発表においては、

新型コロナウィルスの影響によって

休業となった場合でも、

休業手当の支払い義務は発生しません。

 

ですが、社員の生活を守るため、

休業となった場合でも何とか社員に

給料を出そうと考える経営者も多いと思います。

 

そのため、新型コロナウイルスの影響を受け、

事業活動の縮小を余儀なくされ

一時的に休業をせざる得ない会社に対して、

社員の雇用維持を図った場合に、

休業手当、給料等の一部を助成する

「雇用調整助成金」も用意されています。

 

ご参考になれば幸いです。