今回は
『解雇や会社倒産の時の基本手当のもらい方』
についてお話したいと思います。
少々ネガティブな想定でのお話となります。
現状、テレワークや在宅勤務をしている方、
テレワークや在宅勤務ができず
出勤せざるを得ない方、
人員縮小で働く日数が減っている方、
そして
会社が休業となって働く事ができない方など、
様々かと思います。
※執筆は4月下旬であり、その当時の状況について
述べています。
身の回りのお店がほとんど閉まっている状況。
物を買いたくとも買えないし、
必要なもの以外は買おうとは思わないですよね。
取り敢えず様子を見ようと。
このように経済活動が停滞してしまうと、
各企業の売上は半減、激減、売上なしとなります。
体力のある大きな会社であってもこの状況が続けば、
いずれ体力は尽きてしまいます。
悲しい話ですが、今後は従業員の解雇や
会社の倒産が増えてくると思います。
万が一、あなたの身に降りかかった時に
どのような対応策が取れるのか。
今回は、雇用保険の失業給付、
基本手当のお話をいたします。
会社を辞め次なる一歩を踏み出す方へ、
3ヶ月から1年間、所得保障を受けることが
できる制度です。
必要となった時に迅速に手続きができるよう、
知っておくのはいかがでしょうか。
失業給付(基本手当)をもらうための条件
失業給付をもらうための条件は3つ。
1)会社を辞めて(離職)
雇用保険の被保険者でなくなったこと
2)就職の意思と能力があるにもかかわらず、
職業に就くことができないこと
つまり『失業の状態』にあること。
3)離職の日以前2年間に、
被保険者期間が通算して12か月以上あること。
ただし、特定受給資格者又は特定理由離職者については、
離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して
6か月以上ある場合でも可。
特定受給資格者とは、
「倒産」等により離職した者や「解雇」等により
離職した者を指します。
今回のケース(倒産や解雇)だと、
離職の日以前1年間に
被保険者期間が通算して6か月以上
あればよいということになりますね。
ちなみに特定理由離職者とは、
期間の定めのある労働契約が
更新されなかったことにより離職した方などを
指します。
失業給付(基本手当)の金額ともらえる日数
もらえる日数を所定給付日数と言います。
会社を辞めた日(離職した日)における年齢や
雇用保険の被保険者であった期間及び離職の理由などに
よって決定されます。90日から360日の間で決定されます。
具体的な日数は下記のURLをご参照ください。
【基本手当の所定給付日数(ハローワークインターネットサービス】
失業給付(基本手当)の1日当たりの金額を
「基本手当日額」といいます。
この「基本手当日額」は原則として
離職した日の直前の6か月の給料(賞与等は除く)の
合計を180で割ります。
この金額(賃金日額)のおよそ50~80%
(60歳~64歳については45~80%)となります。
給料の金額が低い方ほど高い率が設定されています。
具体的な手続きの流れ
会社の都合によって、退職することになった場合、
失業給付(基本手当)をもらうためには
どのような行動を取ればいいのか
順番にお話していきます。
失業給付(基本手当)を受けるためには、
住所地を管轄するハローワークにおいて
「求職の申込み」をする必要があります。
求職の申込みをして「失業給付をもらえる」
資格を得ます。受給資格の決定と言います。
この受給資格の決定をしてもらうために
用意するものは5つです。
1.離職票2種類
勤めていた会社から送られてきますので、
氏名や失業給付を受け取る振込口座などを
ご自身で記入します。
この離職票がないと何も始まりません。
もし辞めてから10日前後経っても
離職票が届かない場合は会社に連絡するか、
会社住所地を管轄するハローワークへ
相談すれば会社へ催促してくれます。
また、注意点を2つ。
離職票に記載の給料の金額と
退職理由は確認しましょう。
給料の金額は通勤手当や残業代が
含まれる金額です。
賞与は含みません。
2.マイナンバーカード(通知カード)と写真付き身分証明書など
3.写真2枚
4.本人名義の預金通帳
離職票に振り込み先金融機関の確認印をもらっていれば不要
5.印鑑
これら5つの書類を揃えたら、
ハローワークへ向かいましょう。
ハローワークでは、設定されているパソコンで
求職情報を入力するか、パソコンはちょっと苦手の方には、
求職申込書という紙ベースの書類が用意されていて、
手書きをする2つの方法があります。
また、ご自宅のパソコンで求職情報を入力し、
その後ハローワークへ行く方法もあります。
ハローワークで確認される点は、
主な確認事項は離職票-2に記載された
離職理由に異議がないかです。
離職理由によって所定給付日数(もらえる日数)が
決定されるためです。
万が一、離職理由が事実と異なっている場合には、
離職票-2の「具体的事情記載欄」に
事実を記入して担当者に相談してください。
そして、離職理由や他の項目など特に
問題がない場合は、書類は受理され
「受給資格」の決定となります。
失業給付をもらえる資格が得られたわけです。
この決定された日を
「受給資格決定日」と言います。
「雇用保険受給資格者のしおり」などが配布され、
その中には次の雇用保険受給説明会の日時が
指定されています。
受給資格決定日から7日間、
待機の期間(待機期間)が設けられます。
この期間は失業給付はもらえません。
待機期間の終わりから1、2週間後に
「雇用保険受給説明会」が行われます。
説明会の日時は、受給資格決定日にもらった
「受給資格者のしおり」に記載されていますので、
忘れないように参加してください。
説明会は2時間程度のもので、
失業給付をもらうための流れや注意点などの
お話となります。
この時、大切な書類2つが配布されます。
「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」です。
受給資格者証には、氏名、基本手当の金額、
受給期間終了年月日などが記載されています。
後から顔写真をご自身で貼ることになります。
失業認定申告書は、失業認定日に提出する書類で、
認定日直前の4週間に仕事をしたか
求職活動をしたかなどを記入して報告します。
失業を認定する日が4週間ごとに設定されて、
都度その4週間分の失業給付の支給が
確定する流れとなります。
説明会から1、2週間後に
第一回目の失業認定日が行われます。
日時は受給資格者のしおりで
確認できますので忘れずに日程を
空けておきましょう。
この認定日の目的は、ご自身の失業の状態、
働く意思と能力があるが仕事に就いていない状態を
確認してもらうためです。
ご本人が出席する必要があります。
認定日に持っていくものは
「失業認定申告書」「雇用保険受給資格者証」
「印鑑」「ハローワークカード」
「受給資格者のしおり」となります。
書類を提出して問題なく受理されれば
失業給付をもらうことができます。
失業認定日の4~7日後に指定した
銀行口座に振り込まれます。
第1回目の失業認定日から4週間ごとに、
次の認定日が設定されていきます。
認定日には前4週間分の仕事の状況、
求職活動の状況を報告しその4週間分の失業給付を
確定し振り込まれる。
その4週間後の失業認定日で同様の報告、
そして振込み、このサイクルを失業給付を
もらい終わるか再就職が決まるかまで
続けていくという流れになります。
最後の最後に注意点を。
失業給付を受け取れる期間(受給期間)は
原則として退職日の翌日から1年間です。
この期間を過ぎると所定給付日数が
残っていても受け取ることができません。
もらえたはずの給付がもらえなくなります。
求職の手続きは、退職後いつまでにという
決まりはありませんが、
なるべく早く手続きは行いましょう。
ご参考になれば幸いです。