今回は
『「年収の壁」働く時の社会保険料と税金の仕組み』
についてお話いたします。
人との接触を避けるため、
在宅勤務やテレワーク、
中には出勤日数が少なくなった方も
多いと思います。
なんだか知らぬ間に自然発生的に働き方が
大きく変わろうとしているのではないでしょうか。
現在の状況がひと段落つき、
元の生活へ戻るもしくは改めて
働くことについて考える時のために、
働く際に知っておきたい
社会保険料と税金の仕組みについて
お話したいと思います。
仕組みと少々大げさな言い方をしていますが、
必要な点だけ、簡単にいくら稼ぐと
税金がかかりますよ。
いくら儲けると社会保険に加入、厚生年金保険料と
健康保険料が給料から引かれますよ。
という伝え方をしていきますので、
複雑な話はしません。
この働いて得た収入によって、
税金や社会保険料などが引かれる金額を指して
『年収の壁』と呼ばれたりします。
一度は聞いてことがあると思います。
具体的には、100万円の壁、103万円、106万円、
130万円、150万円、201万円の壁
をご紹介していきます。
パートやアルバイトを始めようか
考えている主婦の方などが対象となるお話。
もちろん、すでに働いている方も
参考になると思います。
奥様や娘さんなど、ご家族の方が
働く時の参考にもなれば幸いです。
100万円の壁『住民税の壁』
収入が100万円を超えると『住民税』が取られます。
つまり『課税』税金が課される、
税金をもっていかれるということですね。
課税の反対が『非課税』。
100万円を超えないように収入を
調整すれば税金は課されることなく
丸々もらえる訳です。
ざっくり言えば住民税とは、
あなたが住んでいる市区町村に
収める税金のこと。
住民税は、基本的には前年の所得によって
決定されます。
節税に関する話題などにはよく
「来年の税金が安くなります」というフレーズが
出てきますが今年の税金の金額は
去年の所得をベースに計算されるからです。
仮に今年から働き始めて、給料をもらい始める、
所得が増えたとなれば、来年の住民税が
高くなるということを覚えておいてくださいね。
そしてその計算の際、ポイントだけかいつまんで話すと、
東京都の場合、課税されない金額35万円、
給料をもらっている方が受けられる
控除(課税されない金額)65万円の
合計100万円が差し引かれます。
この2つの要素から年収100万円が、
住民税がかからないボーダーラインとなります。
今回は東京都の例です。
気になる方はお住まいの市区町村にて
住民税の非課税の金額について、
一度、調べてみるといいですよ。
103万円の壁『所得税の壁』
100万円の壁と考え方は一緒です。
なぜ『103万円』なのかというと、
48万円+55万円で103万円だから。
所得税の金額は、1年間で得た収入から
「基礎控除
(誰もが一律で差し引かれる金額:2020年48万円)」と
「給与所得控除
(給与所得者の誰もが一律で引かれる金額:2020年55万円)」
この合計額を引いて残った金額に税率をかけて算出します。
つまり、103万円までは税率をかける金額が残らない、
所得税はなしというわけですね。
原則、交通費や通勤手当を
年収に含める必要はありません。
給与の総支給額が103万円を超えなければ、
配偶者控除を受けることができます。
106万円の壁『社会保険料の壁』
なぜ、106万円なのか、からいきますね。
一ヶ月の給料 88000円の
1年分(×12=1056000)が約106万円
ここからきていると思われます。
実は、現在の社会保険(厚生年金と健康保険)
加入の条件(義務)は2段階あると考えてください。
1段階目が今回の106万円、
2段階目が次にお話する130万円です。
加入の条件は5つあり、
すべてを満たす場合に加入義務が生まれます。
1)1週間の労働時間が20時間以上であること
週4日の勤務なら1日5時間以上、
週3日の勤務なら7時間程度働くと
この条件を満たすという訳ですね。
2)1ヶ月の賃金が88,000円以上であること
賞与、残業手当や通勤手当は除きます。
3)雇用期間の見込みが1年以上であること
見込みですので、1年未満の契約であっても
随時更新がある旨の記載があれば
この条件を満たすことになります。
4)学生でないこと
このブログを観ていただいている方の中には
学生の方はいないですかね。
5)従業員501名以上の会社で働いていること
この企業規模の従業員数要件は、
今後緩和されていきます。
2022年10月からは従業員101名以上へ、
2024年10月からは従業員51名以上となります。
働く会社などの規模によっても
加入の義務ありなしが変わってくるというわけです。
この5つすべての条件を満たす方は対象者ですが、
逆に5つのうち、1つでも満たしていないと
対象ではありません。
あえて条件を満たさないことで
社会保険に加入しない選択も可能です。
130万円の壁『扶養の壁』
年収130万円を超えると旦那さんの
扶養から外れることになります。
つまり、社会保険(厚生年金と健康保険)
加入の義務が発生するというわけです。
年収130万円にはあらゆる収入を含みます。
給料、賞与、諸手当やあれば不動産収入、
事業収入などが含まれます。
なぜ、106万円と130万円の
2つの基準があるのかというと、
税制と社会保険の違いなのですが、
小難しくなりますので割愛します。
簡単に表現すると、130万円の壁は初めからあり、
後から(平成28年10月1日から)厚生年金と健康保険、
社会保険加入者を増やすべく
106万円の壁が立ちはだかったというイメージです。
社会保険加入を意識するなら、
働く会社などの規模や勤務形態、
先程ご紹介の5つの条件を考慮すること。
そして、条件を外れたとしても
収入130万円を超えれば社会保険
加入の義務があることに注意すること。ですね。
150万円の壁・201万円の壁(配偶者控除)
150万円を超えると旦那さんの税金が
安くなる配偶者控除が少なり始めます。
そして、201万円を超えると適用されなくなります。
社会保険加入のメリット・デメリット
メリットは、将来の老後に貰える年金額が増えること。
専業主婦の方であればご自身の年金額を増やせるということ。
例えば、旦那様が会社員でその扶養に入ってる
奥様がこの度パート先において厚生年金に
加入することになったとしましょう。
これまでは、原則65歳になると国民年金から
貰える老後の年金、老齢基礎年金(満額で年間約78万円)
だけ貰えるところ、厚生年金からの老後の年金も
加算されるという訳ですね。
もうひとつ、厚生年金に入ると
一緒に健康保険にも入ることになります。
これまでは旦那様の健康保険の被扶養者という
立場だったところ、ご自身が健康保険の被保険者と
いう立場になります。
何が違うのかと言うと、
万が一ケガや病気をしてしまって
仕事を休んだ際には健康保険から『傷病手当金』
という所得保障、給料の2/3程度のお金を
貰うことができます。もちろん条件に合えばですが。
また、出産によって仕事を休む際にも
『出産手当金』という、同じく給料の2/3程度の
お金を貰うことができます。所得保障が少しつきますね。
デメリットは、
ご承知の通り給料の手取り額が減ることです。
これは大きいですよね。
また、これまで旦那さん(奥さん)の扶養に
入って健康保険は被扶養者として旦那さんの
健康保険を使って、年金は第三号被保険者として
旦那さんの厚生年金保険料で賄うという
上手に計算しながら働いてきたと思います。
急に新たな年金制度に加入という変化も
抵抗があるのかなと個人的には感じます。
将来の年金額を増やす、
仕事を休んだ時の所得保障などがメリット、
手取り額が減ってしまうかも知れないことがデメリット。
後は考え方次第かと思います。
ご参考になれば幸いです。