今回は

60 歳から年金をもらいたいなら、

法改正後がいいかも!

についてお話いたします。

 

2022 年は年金制度において

大きな改正がいくつかあります。

 

例えば、年金をもらえる年齢が延長されて、

75 歳まで延びて年金額も 84 %増額されます、

という『受給開始年齢の拡大・繰下げ』

 

バートやアルバイトをしている方は

厚生年金への対象になりやすくなります、

という『厚生年金の対象者拡大』

 

60 歳代前半で働きながら年金をもらっている場合、

今後は年金減額されずに働きやすくなります、

という『在職老齢年金の基準額の見直し』

 

いろいろな改正がされていきます。

これらの改正においての共通点は何でしょうか?

 

 

それは『増える』ことです。

 

年金をもらう年齢が 75 歳まで延びる、

その分年金額が 1.84 倍に増える

 

厚生年金へ加入する対象者が多くなるから、

その分将来の年金額が増える

 

年金額が減らされづらくなるから

その分年金の手取りが増える

 

といったような。

 

冷静に考えて、

増えるというメリットの裏には

デメリットもあるはずです。

 

『 75 歳』という年齢だったり、

厚生年金の保険料が新たに発生する

だったりするわけです。

 

今回は、

改正の中であまり注目されていない

印象のある改正点をご紹介いたします。

 

この改正点、

内容としては『増える』のですが

制度自体が『減る』ものとなっています。

 

デメリットに対して改正が入り

年金額が少し増えるというものです。

 

『なにそれっ矛盾してない?』

ぜひ、最後までお付き合いください。

 

基礎的なところから入っていきます。

老後にもらえる年金は、

国民年金からは『老齢基礎年金』、

厚生年金から『老齢厚生年金』

となっています。

 

一般的には、自営業や専業主婦などを

ずっとしてきた方は国民年金のみ、

会社員や契約社員、パートやアルバイトなどの方は

国民年金と厚生年金2つの年金となります。

 

原則 65 歳から受け取ることになりますが

『繰上げ』の制度を活用することで、

最大 60 歳からもらい始めることができます。

 

60 歳から 65 歳まで1ヵ月単位で

もらい始める年齢を選ぶことができます。

 

1ヵ月単位で選べますから、

60 歳と 6 ヵ月目から受け取っても、

61 歳と 3 カ月目から受け取ることも、

64 歳から受け取ることもできます。

 

繰上げを使うメリットは、

早く手元にお金が入ることですよね。

 

でもその反面、

もらう時期を 65 歳から 1 箇月早めると

0.5 %ずつ年金額が減ってしまう

というデメリットが存在します。

 

このデメリットに改正が入ります。

 

2022 年 4 月からは 0.4 %ずつと

減額される率が少なくなります。

つまり、改正前よりも受け取れる

年金額は増えるというわけです。

 

繰上げは年金が減ってしまいますが、

法改正によって受け取れる年金額は

増えるというわけです。

 

では、どのくらい違ってくるのか。

 

現在の減額率は 0.5 %です。

最大の 60 歳からもらい始めるなら

30 %( 0.5 % × 60 カ月)の減額率です。

改正後は 0.4 %ですから 24 %( 0.4 % × 60 カ月)

となります。

 

例えば、1ヵ月の年金額が 20 万円とすると、

1年間の年金額は、20 万円 × 12 カ月 = 240 万円です。

 

現在だと 30 %の減額率なので( 240 万円 × 30 %)

168 万円に減額されます。

 

改正後だと、

24 %の減額率に変更されるので( 240 万円 × 24 %)

182.4 万円となります。

 

・・・

 

本当に知りたいことは違いますよね。

0.1 %の違いなら計算機を叩けばわかります。

 

本当に知りたいこと。

それは

『繰上げを選んで 60 歳から年金をもらってもいいのか?』

『後で後悔しないためにも何か選択基準みたいなものはないのか?』

ではないでしょうか。

 

実は『繰上げ』には手続きが必要で、

一度手続きをすると取り消しはできません、

減額された年金は一生涯続きますので

決断は一回きりです。

 

60 歳からもらい始めたとして、

途中で『 65 歳から普通の減額のない年金の方が

よかったかなぁと後悔したくない』と感じた方。

この後のお話は参考になると思います。

 

どのようなお話をするのかというと、

イメージしてください。

 

あなたの前には2つのモニターがあります。

こちらのモニターには

60 歳から年金をもらい始めるあなたが映し出されて、

そちらのモニターには 65 歳から

年金をもらい始めるあなたが映し出されます。

 

2人のあなたが受け取る年金額を見比べる。

という試みです。

 

簡単に言うと、

60 歳からと、65 歳からともらい始めていくと

どこかの地点でそれまでに受け取った

年金の総額が並びますよね。

 

並んだ地点からはどうなるのか。

 

60 歳からのあなたは減額された年金、

65 歳からのあなたは減額なし。

 

その差額分 65 歳からのあなたが

どんどん増えていくわけです。

つまり、並んだ地点まで、

〇〇歳と○○箇月まで

健康でいられるなら 65 歳から

もらう方が受け取る年金の総額は

多くなります。

 

反対に、〇〇歳と○○箇月まではどうかなと

思う方は 60 歳からもらい始めるという

選択肢も出てくるわけです。

 

60 歳から年金をもらい始めるあなたと、

65 歳から年金をもらい始めるあなたがいる。

 

お互い何歳何か月の時に

それまでもらった年金の総額が並ぶのか。

 

現在の減額率 0.5 %で計算した場合は

『 76 歳 8 か月』時点で年金総額が並びました。

 

76 歳 8 か月まで健康でいられるかを、

繰上げの判断基準にしてみてはいかがでしょうか。

 

続いて、法改正によって

2022 年 4 月から減額率が 0.4 %に変更となります。

 

改正後の減額率 0.4 %で計算した場合は

『 80 歳 10 か月』時点で年金総額が近くなりました。

 

2022 年 4 月以降の繰上げについては

80 歳 10 か月まで健康でいられるかを、

繰上げの判断基準にしてみてはいかがでしょうか。

  

今回、減額率と年金総額から

このような計算で年齢を割り出してみました。

 

繰上げの判断材料のひとつとしてみてください。

 

あなた自身の健康状況や経済状況を踏まえて、

年金を受け取る時期を決めていただければと思います。

 

ご参考になれば幸いです。