今回は

60歳以降に給料減ったら貰える給付

についてお話いたします。

 

会社員として働いている方などが「60歳

という年齢を聞いて思いつくことは、

定年となる年齢やお勤めの会社での

今後の働き方、継続雇用や再雇用など

ではないでしょうか。

 

現在は、高年齢者雇用安定法という法律も

改正されていますので、会社側に対して

65歳まで働くことが出来る措置を整備すること」

が義務付けられています。

 

そのため、

定年の年齢を後ろに下げる定年の延長」や

定年そのものをなくす「定年の廃止」、

一旦区切りをつけて「再雇用」する

継続雇用制度のいずれかが

導入されているかと思います。

 

なお、

厚生省平成29年の集計データによると

定年の廃止を導入している企業は2.6%、

65歳以上の定年制度を導入している

企業は17%となっています。

 

残りの約80%は継続雇用、

再雇用を導入しているという

結果となっていました。

 

このデータを踏まえて考えれば、

60歳以降働いている会社員の方などの

多くは再雇用という形がほとんど

ということになります。

 

継続雇用制度の導入が

多いのはお察しの通り、

労働条件の見直しができるからすなわち、

給料が下がるケースが多いということですよね。

 

 

制度の概要

実は、この制度は雇用保険の給付です。

雇用保険と言えば、会社を辞めた時や

再就職した時などにお金が貰える制度

という印象が強いかと思いますが、

給付はいろいろとありまして、

その中の「高年齢雇用継続給付」が

今回ご紹介する給付となります。

 

給付金の名前を覚える必要はありません、

この高年齢雇用継続給付は2種類用意されていて、

「高年齢雇用継続基本給付金」と

「高年齢再就職給付金」となります。

 

ここで言う高年齢とは

60歳から65歳までを指していますので、

60歳以上の方への基本的な給付と

60歳以上で再就職した方への給付と

考えていただければと思います。

 

今回は基本的な給付金となる

高年齢雇用継続基本給付金の

お話となります。

 

高年齢雇用継続基本給付金

ざっくりと言えば、

60歳以降の賃金(給料)がそれまでの

給料の金額と比較して、ガクンと

減っていたら貰える給付金です。

 

ガクンとはどの程度かも含め、

貰うための条件4つご紹介します。

 

1. 失業手当(基本手当や再就職手当など)貰っていないこと。

 

60歳以降働く方が対象となる給付金です。

会社などを辞めたら一度失業手当を貰ってから

という方は注意してください。対象外となってしまいます。

 

対象となるのは、お勤めの会社で60歳以降も

そのまま途切れることなく働く方が

多いのかなと思います。

 

2. 60歳以後の給料が一定割合未満に減っていること。

 

一定割合とは75%。75%未満、3/4未満に減っていること。

何と何を比較して判断するのかと言いますと、

60歳時点での賃金(給料)と

60歳以後の給料(新しい給料の金額)とを比較して、

60歳時点の金額の75%未満となっていること。

 

これまで40万円だった給料が、

60歳以後の契約においては29万円台に

減っていたら対象というわけですね。

 

3. 被保険者であった期間が5年以上あること。

 

雇用保険に加入していた期間が5年以上あること。

先ほど、対象となるのは、お勤めの会社で

60歳以降もそのまま続けて働く方が多いのかな

とお話しましたが、「被保険者であった期間」とは、

会社を辞めた日(離職した日の翌日)から

再就職した日の前日まで の期間が

1年以内であればこの5年に含めることができます。

 

ただし、この1年に雇用保険の給付を

貰っていると通算はできなくなります。

 

4. 60歳以上65歳未満の方で、一般被保険者であること。

 

雇用保険に加入している方ということですね。

基本給付金は、65歳になるまで貰うことができます。

60歳以上であっても、雇用保険の加入期間5年を

満たせばその時点から貰うことができます。


以上、4つの条件を満たすと

高年齢雇用継続基本給付金が貰える

ということになります。

 

貰える金額はいくら

最大で新しい給料の15%の金額となります。

さきほど、60歳時点での給料と

60歳以後の給料(新しい給料の金額)と

比較して、60歳時点の金額の75%未満と

なっていることとお話しました。

 

このパーセンテージが61%未満となると

最大の15%の給付金が貰えます。

 

具体的な数字でお話しますね。

例えば、現在の給料が35万円としましょう。

60歳で再雇用となり再契約したところ

新たな給料の金額が30万円となった、

 

以前の給料35万円の約85%なので

75%未満でない対象外。

28万円だと、80%でまだ対象外。

26万円だと、約74.2%。

ここで初めて75%未満となり

対象となります。

 

そして、

21万円まで下がると60% 

61%未満で15%。給付金は31500円

新しい給料と給付金を足すと、

241,500円。以前の給料の69%となりました。

 

ちなみに21万円までは下がらずに

23万円の場合で計算してみると、

この場合の給付金の乗率は、9.48%でした。

 

ですので、給付金が約21,800円 

合計額は、251,800(以前の給料の約72%)

 

つまり、高年齢雇用継続基本給付金は、

以前の給料の7割前後の金額となるよう

給付金が調整されているということがわかります。

 

なお、基本給付金には上限額があります。

「新しい給料と基本給付金の合計が36万3359円」

が上限額です。この金額を超える場合には、

その差額が基本給付金の金額となります。

 

高年齢雇用継続給付の申請の手続については、

原則、会社が行います。

しかし忘れている場合もありますので、

気になる方、給料が75%未満になった方は

念のため会社の管理部門に

「高年齢雇用継続給付」という制度が

あるみたいなのですが、

と確認してみてもいいと思います。

 

可能性はとても低いですが、

もし自分で申請の手続きを行う場合には

お勤めの会社の住所地のハローワークへ

申請することになります。

 

ご参考になれば幸いです。