労働基準法19条の『解雇制限』
会社が勝手に従業員を辞めさせては
いけない期間があることをご存知ですか?
会社側から社員を辞めてもらう行為を
『解雇』といいますよね。
この解雇をしてはいけませんという期間を、
労働基準法19条の
『解雇制限』という条文で定めています。
法律、解雇制限、条文というと
少々引いてしまう方もいると思いますので
世間話から話を始めていきますね。
最近めっきり寒くなってきました。
現在、10月中旬なのですが
最高気温が13℃から15℃と
急に冷え込んできています。
会社でも鼻声の人や咳込む人、
いらっしゃるのではないでしょうか。
ある日会社で体調を急に崩して
病気になり働くことができなくなった。
細かい話はさておき、
仮に社内で発症した病気と
認められると労災保険が適用されて
『休業補償給付』が支給されます。
簡単に言えば最長1年6箇月の間、
給料1日分の80%がもらえる
所得保障的なお金です。
働けず会社にも出勤できない。
自宅でひとり寂しく寝込んでいる、
家族にも心配させてしまっている。
ここで視点を会社側、
社長の視点に切り替えてみましょう。
「病欠の彼(彼女)全然見ないけど?」
「病状がまだよくないみたいです。」
「そう、休みが長引くようなら
代わりの人を採用するかぁ・・・」
となるかも知れない。
そもそも病気になったのは社内でのこと。
言葉は悪いですが、
会社のせいで病気になったわけです。
原因を作った会社が、
それを理由に『解雇』は筋が通りませんよね。
そこで、労基法19条の解雇制限の規定があります。
「労働災害により休業している期間及び
その後30日間は解雇してはならない。」
療養中は所得保障と解雇制限がありますので、
身体を治すことに専念して
復帰後30日間はバリバリ働いて
改めて会社に貢献すればいいわけです。
えっ?
復帰後30日経ったらクビかも知れない・・・
そんな心配性なあなたには
労働契約法16条
「解雇制限が解かれた後も、
解雇には客観的・合理的な理由が必要で、
認められない場合は権利を濫用したものとして
無効になる」
という条文をお伝えしたいと思います。
ご参考になれば幸いです。